\documentclass[a4j,12pt]{jarticle} \usepackage{amsmath} \usepackage{amssymb} \pagestyle{empty} \textwidth 15.3cm \oddsidemargin 0in \evensidemargin 0in \textheight 22.3cm \topmargin 0in \headsep 0in \renewcommand{\topfraction}{0.95} \renewcommand{\bottomfraction}{0.95} \renewcommand{\textfraction}{0.05} \renewcommand{\baselinestretch}{1.0} \begin{document} \centerline{2013年数学I期末テスト略解・解説} \medskip \rightline{2013年9月10日} \rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)} \rightline{数理科学研究科棟323号室 (電話 5465-7078)} \rightline{e-mail yasuyuki@ms.u-tokyo.ac.jp} \rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}} \bigskip 各問20点の100点満点です.あと少しで B, C の成績で,中間試験が 良かった人にはプラスアルファの点がついています.その場合は $48+2=50$ のように一番上に書いてあります. 点数がおかしいと思う人は直ちに申し出てください.答案はすべて コピーがとってあります. 平均点は65.2点,最高点は100点(4人)で,成績分布は次の通りでした. \begin{table}[h] \begin{tabular}{|r|r|r|r|r|r|r|r|} \hline 0--49 & 50--59 & 60--69 & 70--79 & 80--89 & 90--99 & 100 & 合計 \\ \hline 26(人) & 33 & 20 & 23 & 23 & 17 & 4 & 146 \\ \hline \end{tabular} \end{table} 以下簡単な計算は省略しますが,答案では計算もきちんと書く必要が あります. \bigskip [1] これは超基本問題です.Taylor 展開の方が速いですがロピタルの 定理を知っていれば高校生でもできます.計算は省略して答えだけを 書きますが,これはとても簡単なので答えが違うものは即座に0点 にしてあります.各10点です. (1) $2/3$. (2) $81/4$. \bigskip [2] $f(x)=\tan x$ とおくと, $f'(x)=\displaystyle\frac{1}{\cos^2 x}$, $f''(x)=\displaystyle\frac{2\sin x}{\cos^3 x}$, $f'''(x)=\displaystyle\frac{2(3\sin^2 x+\cos^2 x)}{\cos^4 x}$, $f''''(x)=\displaystyle\frac{8\sin x(2+\sin^2 x)}{\cos^5 x}$, $f'''''(x)=\displaystyle8\frac{2+11\sin^2 x+2\sin^4 x}{\cos^6 x}$ なので,Taylor 展開は $$\tan 0.05 =0.05+\frac{1}{3}(0.05)^3+ \frac{1}{15}\frac{2+11\sin^2 c+2\sin^4 c}{\cos^6 c}(0.05)^5$$ です.(ただし $0 < c < 0.05$.) ここで $\sin c < c $ と $2+11 c^2+2c^4<3$, $$1/\cos^6 c < 1/(1-c^2/2)^6 <(1+c^2)^6 <2$$ より 剰余項は $6(0.05)^5/15<0.0000002$ で上から抑えられるので, $0.05+\frac{1}{3}(0.05)^3=0.0500416666\cdots$ と合わせて 答えは $0.050041$ です.四捨五入している人がたくさんいましたが, 問題は切り捨てるよう求めています.また剰余項が無視できると 言うことを根拠なく主張している人がたくさんいましたが減点 です.(もう少し先の項まで書いても同じことです.$0.05^7$ が小さい, というのは係数を見ていないので理由として不十分です.) $\tan x=\sin x/\cos x$ で分母分子を Taylor 展開してもできますが, 正しく誤差を評価するのは少し面倒になります. なお正しい数値は $0.05004170\cdots$です. \bigskip [3] 合成関数の微分公式に代入するだけの超基本問題です. $$\frac{\partial f}{\partial x}= \frac{x}{\sqrt{x^2+y^2}}\frac{\partial f}{\partial r}+ \frac{-y}{x^2+y^2}\frac{\partial f}{\partial \theta},$$ $$\frac{\partial f}{\partial y}= \frac{y}{\sqrt{x^2+y^2}}\frac{\partial f}{\partial r}+ \frac{x}{x^2+y^2}\frac{\partial f}{\partial \theta}$$ です.右辺を $r,\theta$ を使って書いてもO.K.です. 簡単な問題なので計算ミスは大幅に減点してあります. \bigskip [4] これも決まった通りにやるだけの超基本問題なので 答えだけ書きます.まず $f_x=f_y=0$ を解いて,極値を取る点 の候補は $(x,y)=(0,1/2),(1,1),(-1,1)$ の3つです. 授業でやった通りの方法で機械的に判定できて,最初の点では 極値を取らず,あとの2点では極小値 $-4$ を取ります. 「極値を求めよ」と言う問題なので, 値 $-4$ を書いていない人は減点です. \bigskip [5] これもまず $f_x=f_y=0$ を解くと $a\neq0$ のときは $(x,y)=(1/2,1/4)$ だけが極値を取る点の候補です.あとは [4] と同じように判定すれば $a<0$ の時はこの点では 極値を取らず,$a>0$ の時はこの点で極値を取ることがわかります. $a=0$ のときは $f(x,y)=(x+2y-1)^2+2$ となり,直線 $x+2y-1=0$ 上で 一定値 $2$ を取るので授業でやった極値の定義(いわゆる 狭義の極値)だとこれは極小値を取りません.よって答えは $a\le 0$ となります.なお広義の極値の定義を採用した場合 は $a=0$ の時も極小値を取ることになり,答えは $a < 0$ と なります.こちらの定義を採用していることがはっきり している答案は減点していません. $a=0$ の場合の処理以外はこれも超基本問題ですが, $f_x=f_y=0$ を解くところでおかしくなっている人が たくさんいました. \end{document}