| 〔講義題目〕 | 数理科学の研究フロンティア:宇宙,物質,生命,情報 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 〔講義内容〕 |
本講義では,宇宙の起源,物質の起源,生命の進化,情報と人工知能などの現代科学のフロンティアを,最前線の若手研究者が数理科学という切り口で俯瞰する.授業担当教員がモデレータとなり,理化学研究所などの若手研究者をゲストに招き,以下の話題を議論する.ゲスト氏名と話題は,今野北斗「現在の幾何学」,青木俊太朗「宇宙論入門 ― 初期宇宙と素粒子の視点から」,シュパイデル玲雄「数理遺伝学入門」,土居孝寛「コンピュータでのぞくクォークの世界」,角田峻太郎「物性における対称性とトポロジー」,Andreas Dechant「Statistical Mechanics: From Micro to Macro, from Equilibrium to Nonequilibrium (統計力学: ミクロからマクロへ,平衡から非平衡へ)」, 菊池勇太「量子コンピュータでできること」である.
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| 授業担当教員がモデレータとなり,理化学研究所の若手研究者をゲストに招き,以下の話題を議論する. | |||||||||||||||||||||||||||||
| 4/8,4/15 今野北斗「現在の幾何学」 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 現在の幾何学者の多くは,曲線や曲面の高次元版にあたる「多様体」と呼ばれる空間概念を研究対象としています.多様体とは大まかに言えば,「n次元の曲がった空間」です.多様体に関する主要な問題,たとえば多様体の分類は,興味深いことにその次元によって大きく様相を異にすることが知られています.中でも4次元多様体の分類は,他の次元とは一線を画する複雑さを示します.そのような次元の特殊性を捉えるために,物理学のゲージ理論に由来する微分方程式の手法が重要な役割を果たします.本講義では,このような研究の一端を紹介します. | |||||||||||||||||||||||||||||
| 4/22, 4/29(京大休講日), 6/3(東大休講日) 青木俊太朗「宇宙論入門 ― 初期宇宙と素粒子の視点から」 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 宇宙はどのように始まり,なぜ現在の姿になったのでしょうか.本講義では,現代宇宙論の基礎と,宇宙初期に起こった物理過程を紹介します.特に,素粒子の生成や量子ゆらぎといったミクロな現象が,銀河や大規模構造といったマクロな宇宙の姿へどのように結びつくのかを議論します.さらに,観測データと理論の両面から,現代宇宙論が挑んでいる未解決問題にも触れます.宇宙論と素粒子論が交差する領域の面白さを体感してもらうことを目指します. | |||||||||||||||||||||||||||||
| 5/13, 5/20 シュパイデル玲雄「数理遺伝学入門」 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 私たちのDNA配列に刻まれた多様性は,体の仕組みを理解するうえで重要な情報源であると同時に,代々受け継がれてきたものでもあります.そのため,数十万年にわたる移住・適応進化・混血といった複雑な過程を映し出す,人類進化の貴重な「情報の貯蔵庫」とも言えます.近年は,世界中で数十万規模のゲノム解析が進み,さらに古代人骨からDNAを抽出し解析することも可能になりました.こうしたデータのおかげで,人類進化史や医療,生物学をデータ科学として統合的に捉え直すことが可能となってきています. 本講義では,このような膨大で多様なゲノムデータを読み解くために,確率数理モデル・統計的推論・計算科学がどのように活用されているかを紹介します.例えば,遺伝的変異を用いてDNAと形質の関連性を推定する方法,時系列的変化から自然選択を読み解くモデル,そして遺伝的継承パターンからネアンデルタール人などとの混血の様子を推定する統計的アプローチについて概説します. | |||||||||||||||||||||||||||||
| 5/27, 6/10 土居孝寛「コンピュータでのぞくクォークの世界」 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 物質をどんどんミクロに見ていくと,原子→原子核→陽子・中性子→そしてクォークという素粒子の世界にたどり着きます.この講義では,クォークに働く「強い相互作用」がどのようなものか,そして陽子・中性子や原子核がどのように成り立っているのかについて,現代物理が明らかにしてきた理論を紹介します.さらに,クォークの世界をコンピュータ上でシミュレーションし,そこから見えてくるさまざまな性質を実際にデモンストレーションします.現在も活発に行われている数値計算による研究の雰囲気を,みなさんと共有することを目指します. | |||||||||||||||||||||||||||||
| 6/17,6/24 角田峻太郎「物性における対称性とトポロジー」 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 金属・絶縁体・超伝導といった身近な「モノ」の性質を明らかにする物性物理学では,対称性やトポロジーといった数理的な手法を活かして様々な理論研究が行われています.本講義では,主に超伝導を題材として物性における数理科学の一側面を紹介し,それを通じて物性物理学そのものの面白さも伝えられればと思います. | |||||||||||||||||||||||||||||
| 7/1,7/8 Andreas Dechant「Statistical Mechanics: From Micro to Macro, from Equilibrium to Nonequilibrium (統計力学: ミクロからマクロへ,平衡から非平衡へ)」 | |||||||||||||||||||||||||||||
| In this lecture, I will give an introduction to statistical mechanics, illustrating its basic ideas and concepts and highlighting some applications and recent developments. In the first lecture, I will focus on equilibrium statistical mechanics and how it allows us to connect the microscopic laws of physics to the macroscopic phenomena we observe in the world around us. In the second lecture, I will discuss the challenges and recent advances in applying statistical mechanics to non-equilibrium systems and the new and unexpected phenomena that can be observed in them. (この講義では,統計力学の基礎的な考え方と概念を紹介し,いくつかの応用例や最近の進展を取り上げます.第1回の講義では,平衡統計力学に焦点を当て,ミクロな物理法則と,私たちの身の回りで観測されるマクロな現象をどのように結びつけることができるかを説明します.第2回の講義では,非平衡系に統計力学を適用する際の課題と近年の進展,そしてそこで見いだされる新たで予期せぬ現象について議論します.) | |||||||||||||||||||||||||||||
| 7/15, 7/22(東大休講日) 菊池勇太「量子コンピュータでできること」 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 量子コンピュータは量子力学の性質に基づいて動作する計算機で,普段わたしたちが利用している計算機と異なる動作原理にしたがって動きます.この講義では,量子計算の基礎を解説した後に,現在実現されている量子コンピュータでなにができるようになったのか,また将来的に量子コンピュータの開発が進み,どのようなことができると期待されているのかを紹介していきます. | |||||||||||||||||||||||||||||
| 〔教科書等〕 | 使用しない.講義内容,参考となる事柄等について,次のホームページで案内する. https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/riken2026.htm |
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| 〔評価方法等〕 | 出席の把握のため,毎回当日20時までに,質問感想等を200字以上アンケートとして提出してもらう.出席状況により合否を評価する. 出席アンケート |
* 4月29日は京大は授業日ではありませんが,東大は授業日です.6月3日は東大は授業日ではありませんが,京大は授業日です.この2回は同一の内容を繰り返します.7月22日は東大の授業日ではありませんが,講義はあります.これについては出席にカウントしないので,出席するかどうかは自由です.
この講義についての質問等は河東泰之 yasuyuki[@]ms.u-tokyo.ac.jpにメールしてください.
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