TA : 島本, 田森, 甘中, 里見
ガイダンス
受講の心得
講義では、凝縮されたエッセンスを、できるだけわかりやすい言葉で伝えようと
思います。講義中の何気ない言葉の中に、何が本質かをつかむヒントがあり、 た
くさんの情報量があります。 数学では、深い理論が記号そのものに内包されて
いる、抽象的な概念が現れます。その論理性を理解し、同時に、具体的にどのよ
うな内容を含んでいるかと掴むのは、書物だけでは非常に時間がかかります。
講義は、抽象的な深い概念を的確に理解して、自分の栄養として身につけるため の道しるべになることでしょう。 板書よりもむしろ、空気中に飛んでいる講義の 言葉で、自分のアンテナに引っかかったものをメモしておくと、後々の理解のヒ ントになることもあると思います。 (逆に、遅刻すると、それを取り返すのにか かる時間は膨大になってしまいます)
講義で一度聞いただけでわからなくても不安に思う必要はない。高校までの計算 主体の数学と異なり、大学では深い抽象的な概念を学ぶ。数学を一気に理解する のが難しいのは当然。 むしろ、すぐには理解できないことを何ヶ月かで自分な りに理解するための、知力のトレーニングと考える。 分からないことは悪いこ とではない。何がわからないかさえ分からないことを切り捨てずに心の中で大事 に育てる。わからないことをを正面から受け止め、言語化し、心の中に留めお き, 自分の心 の中で育てる。分からないことを明確に意識できれば、より深い レベ ルの「分からない」へと移行したり、視野が開けたり、理解が深まったり、 と前 に進むことができる。 丸暗記するよりも思考を続けるほうが知的には苦し いか もしれませんが、このような意識で若い時に半年を過ごすと、見違えるほど 理解 が深まり、思考力が伸びます。
レポートはオリジナルかつ先着のもののみ例外的に受け付ける
海外の同世代の学生等は何を学んでいるか? 文系・理系という日本特有の観念に とらわれず、将来、国際社会で活躍できるような教養を身につけよう。
この講義では、東大の公式シラバスに書かれていることは当然カバーするが、そ れでは将来のみなさんにとって十分ではないので、シラバスに書かれていない重 要な内容も講義の中に取り込み、柔らかく噛み砕いて教えたい。(経済学やさま ざまな判断で使われる)数学をブラックボックスとして鵜呑みにせず、中身その ものを理解するための知力を鍛える。知ったかぶりは危険。中身そのものを理解 で きる知力を鍛えるために、この数理科学Iの講義では、公式等の知識ではな く、 将来に役に立つための思考力と吸収力を鍛えることを重視する。
東大の文系では、演習の授業が設定されていません。しかし、このクラスでは演 習問題を毎週作って配布する予定です。
講義の復習と演習問題を次の週までにしっかりと自習してください。自習のため に解答も同時に配布する予定です。時間がないときは、問題文だけでも読んでく ださい。解答が分かりにくい場合は、積極的に質問してください。(時間の許す 限り、解答に補足説明を加えるなどフィードバックします)
数理科学Iの内容
数理科学Iでは
微分 (概念的理解、多変数関数、近似とは)
積分 (概念的理解、多変数関数)
をテーマとします。
小中高校での数学: 少ない初等的な概念(17世紀くらいまでの数学)を学んで
難しい問題を解く
⇒
大学での数学: 難しい概念(17世紀以降の数学)も理解するコツを学び、 将
来に数理的な新しい概念に接したときに、必要に応じて学べるだけのやわらかい
思考力と知力を培う。 数学的論証を通じて、数学の芯となるものを理解する。
(難しい問題を解くよりも、やさしい問題を解きながら概念理解につとめてくだ
さい)
この講義を通じて、数学を好きになってほしい。
その他
第1回目の講義のテーマ
フェルミ推計
とらえどころのない量を、いくつかの手掛かりをもとに論理的に推論し、短時間 で概算する。
ポイント:利用できる手掛かりは個人によって違いうる。
推論の論理を明示することによって、どの部分があやふやか自覚し、また後でそ のことに気づく(あるいは一部のデータの精度を上げる)きっかけになる。さら に、結果だけをあてずっぽうで予測することに比べると、思考の理由を明示する 方が、筋の悪い推論の場合に、その考え方を捨ててまったく違う見方に取り替え やすい。半分や2倍程度の誤差は構わないが、桁違いにならないように!
海の水の量と今日の大雨で一日間で都内で降った雨の量の比較
大きな数
微分も積分も無限を扱う
無限は有限の操作で比較によって行う
有限の中でも何が効くか、何を切り捨てることができるかを判断することは、数
学においても、数理的な判断においても重要。
(大小の判断は、絶対量で判断することも、効果から判断することもありうる ⇒
微分、テイラー展開)
特に冪乗や階乗によってあらわされる大きな数になじもう(演習問題)
特別大きな数を身近に感じるアイディアとトレーニング
(大きな数同志を比較して、小さい方を切り捨てる、見切る、というのはどうい
うことか? また、とても大きな数でも、その10分の1や10倍とは区別がつ
くように感覚を磨こう)
億:生活時間と比較、
兆:1次元で捉えた時と3次元で捉えた時の評価の比較(ppt)
京:
速く収束する例、ゆっくり発散する例、ゆっくり収束する例
有限和(たとえば一京個の和をとったときの値)と、真の値の差
① 1+1/2+1/4+1/8+1/16+1/32+...
② 1+1/2+1/3+1/4+1/5+1/6+...
③ 1+1/4+1/9+1/16+1/25+1/36+...
①は 0.99...
問 1京回計算したとき、9 は連続してどのくらい並ぶか評価せよ.
③はπ^2/6に近づく(小数以下 15 桁くらいまで一致する).
②がゆっくり、ゆっくり増大する様子をみる (スーパーコンピュータで計算し続けても...)
極限:無限に一足飛びに行く前に、有限での比較を理解する
関数の全体を“見る”
関数=>グラフ の逆を考える。すなわち、グラフから関数をみつけてみる。
単項式を理解しよう.
y=x^2 と y=x^4 の比較
ラクダの背中のような形のグラフはどのような多項式で記述できるだろうか.
cos x のテイラー展開
y=x^100 のグラフを書け.
a 1.1^100 を評価すると
b 1.01^100 を評価する
利率と利回り
ピタゴラスコンマ 2^{7/12} ≒ 1.5 と ピタゴラスコンマ
純正律とピタゴラス音律
究極の複利とネイピア数
オイラーの公式
(三角関数と指数関数) e^{ix) = cos(x) + i sin(x)
[ 演習問題 と 解答 ]
1.二項展開、パスカルの三角形
2.二項展開の応用
その1.1.1^100の計算
その2.72の法則
その3.平均律と純正率の誤差評価
その4.単項式の微分の計算
3.微分の定義
大域から局所へ、局所から究極の局所(微分)へ
微分と導関数、2階微分
4.x^nの微分を計算する
無視できる小さな量を見極める
(演習問題では2つの方法で厳密に説明する)
e^xとネイピア数について
f(x) = 1+ x + x^2/2! + x^3/3! + x^4/4! +...
=Σ_{n=0}^{∞} x^n/n!
とおく。
収束について
n!とx^nをn=100, x=10で比べてみる。
100!の評価
(微分方程式) f(x) は微分方程式 f'(x)= f(x) と初期値 f(0)=1を満たす
(究極の複利) lim (1 + 1/n)^n = Σ_{n=0}^{∞} 1/n! =e (ネイピア数)
(関数等式) f(x+y) = f (x) f(y) が成り立つ
(三角関数と指数関数) e^{ix) = cos(x) + i sin(x) (10月5日の講義)
微分の意味
速度
勾配
限界効用
微分を感じる
視覚的理解
y=f(x)のグラフでは微分は勾配を表す。
例1. 坂道を歩く。xは出発点からの距離、f(x)は標高とする。 坂道の勾配 てf(x)の微分を感じることができる。
時間変数で微分を感じる
変数 x が時間を表す時、微分は時間変化を表す。
例2.f(t) が時刻 t における位置を示す場合、
微分f'(t) は速度
2階微分f''(t) は加速度を表す.
(2次元、3次元の場合は座標成分ごとに考えれば良い。用語:位置ベクトル、速度ベクトル、加速度ベクトル)(これについては次回)
ミクロ経済学における微分
微分の意味
速度
勾配
限界効用
微分を感じる
視覚的理解
y=f(x)のグラフでは微分は勾配を表す。
例1. 坂道を歩く。xは出発点からの距離、f(x)は標高とする。 坂道の勾配としてf(x)の微分を感じることができる。
時間変数で微分を感じる
変数 x が時間を表す時、微分は時間変化を表す。
例2.f(t) が時刻 t における位置を示す場合、
微分f'(t) は速度
2階微分f''(t) は加速度を表す.
(2次元、3次元の場合は座標成分ごとに考えれば良い。用語:位置ベクトル、速度ベクトル、加速度ベクトル)
電車に乗っている場合、速度は周りの風景から感じられる。
加速度は目を瞑っていても観測できる。
カーブするということも目を瞑って観測できる(加速度ベクトル--演習問題)
ミクロ経済学における微分
効用関数と限界効用(marginal utility)
「満足度」を関数という概念で把握するのが適切かどうかは議論の余地があるが、 一つの簡便な考え方といえる。
限界効用=効用関数の導関数
限界効用漸減の法則(ミクロ経済)の3通りの理解
のどが渇いているとき最初に飲む水は美味しいが、だんだん有り難みが薄れてくる(日常の言葉)
⇔ U'(q) > 0, U''(q)<0(微分の言葉)
⇔ U=U(q) グラフは右上がりで上に凸(グラフによる視覚的理解)
等速直線運動
等速円運動と三角関数の微分
微分に関するいくつかの公式について
公式を覚えるのではなく、自分で証明を再構成できるように。
そのための、感覚的な理解を解説する。
合成関数の微分
関数の積の微分(ライプニッツの法則)
関数の商の微分
定理 (微分方程式の求積) f(x) が微分方程式
f'(x)= λ f(x)
f(0)= Aをみたすならば,f(x)=A e^{λ x} である.
補題 任意の x に対して f'(x) = 0 ならば,f(x) は定数関数
微分方程式の用語を使えば、 微分方程式f'(x)=0の解は定数関数であり、それに限る
坂道の例では、「どの点の勾配も0ならば道は水平である」ことを意味する。
時間変数の例では「常に速度が0ならば動いていない」ことを意味する。
日常生活で微分を感じる:その1
日常生活で一階微分、二階微分をどこで感じているか?
1.接線の方程式と微分
例0.二階微分と効用関数逓減の法則。感覚や印象は log で。
例1. 富士山の仰角を大まかに計算する。
例2.正門前の坂道の傾斜を大まかに計算する。
例3.電車のつり革の傾きとその継続時間から、電車の速度を予測する。
三角関数の近似と誤差評価(詳しくは演習問題で)。
2.力学における微分: ニュートンの運動の法則
補題 任意の x に対して f'(x) = 0 ならば,f(x) は定数関数
を用いると、ニュートンの第1運動法則(等速直線運動)は第2法則(力と加 速度の 関係)の特別な場合として導かれる。
3. 弧度法と度数法
度数法 360°は地球が一日に約1°公転するという文化的な便利さがあり、一方、 弧度法は普遍的な概念である。
東京における地球の自転速度の計算。自転の速度が音速と同じ地点は?
角速度,速度ベクトル,加速度ベクトル,
等速円運動の速度ベクトル
d/dx sinx = cos x, d/dx cos x=-sin x
等速円運動の加速度ベクトル、遠心力、向心力(演習問題)
日常で微分を感じる:その2
等速円運動と加速度
*スピードスケートでの最適な体の傾け方の計算
同じ人が同じスピードで走るときでも、競技場の大きさによって最適の角度は違う。
*ハンマー投げにかかる力
体が大きい人と体の小さい人で、どのような差異が生じるか?
*赤道と東京と北極では、地球の自転による遠心力の効果はどのくらいか?
その差異はスポーツ競技に有意に影響するか?
*静止衛星の発射速度(第一宇宙速度)は?音波や弾丸の速度の何倍?
東向きに打ち上げるか西向きに打ち上げるかの効果の差異は?
偏微分の考え方。
2変数関数を視覚的に捉える
考えるヒント:
1) 色を使った塗り分け
2) 等高線
3) 横から見たグラフ(様々な角度からみる)
4) 勾配ベクトル
3変数関数を視覚的に捉えるには?
○ z=f(x,y) の偏微分の定義
∂f/∂x (x,y) := lim_{h → 0} (f(x+h,y)-f(x,y))/ h
(y を止めて x の関数とみなして微分する)
これを f_x(x,y) とも表す
∂f/∂y (x,y) := lim_{h → 0} (f(x,y+h)-f(x,y))/ h
(x を止めて y の関数とみなして微分する)
これを f_y(x,y) とも表す
多変数の関数を(局所的に)理解する.
ステップ 1. (偏微分)「良くわかる関数」で「局所的に近似する」
ステップ 2. 「良くよくわかる関数」(一次式)に対して、局所的な問題を解く⇒
線形代数
「良くわかる関数」(二次式)
例. 野原を東西にまっすぐ歩く,南北にまっすぐ歩くときの登りの傾斜から その地点における傾斜がもっとも急な方向を考える
考えるヒント:東西と南北の傾きだけの情報で十分か?
例. 複数の財に関する、効用関数。
考えるヒント:制約条件はどのように記述するか? 何を止めて何を動かすか?
考えるヒント:複数の財の相乗効果の有無は局所的にどのように記述できるのだろうか?
多変数関数の微分---偏微分
〇3変数関数を視覚的に捉えるには?
2次曲面
z=x^2+y^2, x=x^2-y^2
を色々な形で理解する。
○ z=f(x,y) の偏微分の定義
∂f/∂x (x,y) := lim_{h → 0} (f(x+h,y)-f(x,y))/ h
(y を止めて x の関数とみなして微分する)
これを f_x(x,y) とも表す
∂f/∂y (x,y) := lim_{h → 0} (f(x,y+h)-f(x,y))/ h
(x を止めて y の関数とみなして微分する)
これを f_y(x,y) とも表す
○. 多変数関数を局所的に理解するために
Step 1. 曲線を接線で、曲面を接平面で近似する
(局所的に簡単な図形で近似する)
Step 2. 簡単な図形(直線,平面)に対して局所的な問題を解く
ということを考える。Step 1は偏微分を用いる。
野原を東西にまっすぐ歩く,南北にまっすぐ歩くときの登りの傾斜から その地点
における傾斜がもっとも急な方向を考える
数学の普遍性
一般の多変数関数を「見る」
等高線の意味
2つの実例(地図、今日の天気図)
具体的な関数の例
2変数関数を視覚的に捉える
球面のグラフ表示
関数
曲面のグラフ表示(1次元上げて、鳥瞰図)
等高線(平面図)
色を使った塗り分け(平面図であるが、ある意味でもう一次元用いている)
そのほか、
横から見たグラフ(様々な角度からみる)
勾配ベクトル
多変数の関数を(局所的に)理解する.
ステップ 1. (偏微分)「良くわかる関数」で「局所的に近似する」
ステップ 2. (線型代数)「良くよくわかる関数」に対して、局所的な問題を解く。
「良くわかる関数」= 一次式あるいは2次式
「局所的に近似する」= 与えられた点で接する
として,曲線の接線の公式,曲面の接平面の公式を与える。
Step 2 を理解するためのウォーミングアップとして、 平面における直線を 5 通りの方法で記述する
A. 与えられた点を通り,与えられた直線に平行な直線
B. 与えられた点を通り,与えられた直線と垂直な直線
C. 媒介変数表示(← A)
D. 方程式による表示(← B)
E. y= p x + q (← D)
A,Bは普遍的な性質(幾何)
C,D,Eは座標に依存する記載方法
(これらの初等的な性質を良く理解することで、制約条件つきの極大極小問題の
本質が見抜ける)
○ 余弦定理とベクトルの内積
ベクトルの内積は座標によって定義するのが通常であるが、 実は、座標に依存しない、普遍的な意味(幾何的特徴づけ)をもつということが 重要である。
○ 3次元空間の中の平面に対して、BやDに対する考え方(法線ベクトルを用い る)を適用する。
○ 勾配ベクトル
接平面の公式を勾配ベクトルや内積を用いて記述する。
勾配ベクトルは座標を用いて定義することができるが、普遍的な意味を 持つということが重要である。
勾配ベクトルの幾何的特徴づけを与え、それが、座標での定義 との同等である ことを解説する。
接平面の公式の種々の解釈
極大・極小、臨界点(勾配ベクトル=0の点)
等高線とグラフ・ラグランジュの未定乗数法
変数関数 z=f(x,y) を xyz 空間の曲面(例えば,山)として描くと、 点 (x_0, y_0,f(x_0,y_0)) における接平面の公式は グラディアントベクトルと内積を用い て表せる。
z=(grad f(x_0,y_0), (x-x_0, y-y_0)) + f(x_0,y_0)
点 (x_0,y_0,f(x_0,y_0)) から角度θの方向へ真っ直ぐ距離 m だけ進むと高さは |grad f(x_0,y_0)|m cos θだけ変化する。
特に
定理 1) 勾配ベクトルと等高線は直交する.
2) 勾配ベクトルの方向に進むと傾斜は最も大きい登りであり,その勾配の角度
をφとすると tan φ=|grad f(x_0,y_0)|となる.
3) 勾配ベクトルと 180°反対の方向に進むと傾斜は最も大きい下りである.
等高線から勾配ベクトルを読み取る。
等高線から尾根道、谷がどこにあるかを見る。
制約条件がない場合には山の他よりも高いところ,低いところ,峠ではgrad f=0 になっている.
制約条件がある場合は、山道を歩く中で、標高がで高さが局所的に最大あるいは 最小になっている点では,山道(g(x,y)=0)と等高線が接している.
制約条件がある場合の極大・極小(最適化) ---ラグランジュの未定乗数法
一般的な形でのラグランジュの未定乗数法を理解するためには線形代数と偏微分 の両方の知識が必要であるが、その本質的な考え方は2変数や3変数の場合に幾 何的に理解することができる。これを説明する。
勾配ベクトルと等高線の関係を思い出そう。
ラグランジュの未定乗数法
制約条件のある場合の極大・極小問題
A.(制約条件のない場合)
野原を自由に歩けるとき、山頂が一番高い。
B.(制約条件)
山の中に道があるとき、その山道の中で一番高い点はどこだろうか?
Bの問題を等高線で理解する
地点(x,y)における標高をf(x,y), 制約条件を g(x,y)=0(山道を表す方程式)とする
山道の中で一番高い点を(x_0,y_0)とする。(x_0,y_0)を求めたい。
(x_0,y_0)では山道と等高線が接している
↓
山道の接線と等高線の接線が一致する
↓
法線方向が平行 grad f // grad g
↓
ラグランジュの未定乗数法
grad f (x_0,y_0)= λ grad g(x_0,y_0)
f(x_0, y_0= g(x_0,y_0)
すなわち、元来は未知数x_0とy_0を求めたかったのであるが、 さらにλという
未知数を付け加え、 x_0,y_0,λという3つの未知数に関する方程式が3つ得られ
る。 これを解こうと いうのがラグランジュの未定乗数法である。
山道vs等高線、予算制約戦と無差別曲線(数学の普遍性と、各分野での専門用語(一種の方言))
積分
目標: 1変数、多変数の積分を理解する
区分求積法:多変数の積分を定義するときに自然に拡張できる
厳密に定式化する方法としてリーマン積分の概要を述べる
積分区間[a,b] を分割して,幅が Δx_j の区間と その区間上の値 f(x_j) をかける...長方形の面積
それらを合わせて N 枚の短冊の面積の和を考える
Σf(x_j)Δx_j
定理 1(区分求積法)
分割を細かくしたときに上の和は一定の数に収束する.
この値を ∫_a^b f(x) dx と書き,区間 [a,b] における関数 f(x) の定積分という。
区間の分割の例
特殊な場合:等分割、左端または右端を取る.
定理2 ∫_0^x t^n dt = x^{n+1}/(n+1)
○ 多重積分の定義---区分求積法を2変数関数へ拡張する
○ Fubini の定理とその具体例
○ 多重積分の応用として,ガウス積分を計算する
[ 試験問題 ]
© Toshiyuki Kobayashi