数学 I
水1限,2011夏,東京大学教養学部(文系,1年生)
TA: 粕谷直彦・田中雄一郎
教養学部報, 第540号
お知らせ(5月21日)
水曜日の1限の講義で、教室1106(374人定員)に
入りきれなかった方のために、火曜日の18:30〜20:00に追加開講を始めています。
教室は5月24日(火)より教室1106号室となります。
お知らせ(5月11日)
水曜日の1限には、教室1106(374人定員)よりも広い部屋はないため、教室に入りきれなかった方のために来週より、火曜日の18:30〜20:00に追加開講を行います。5月17日(火)は教室1313で5月11日(水)と同じ講義を18:30〜20:00に行います。5月24日(火)以降の部屋はまだ確定していませんので教務課の案内を見て下さい。
お知らせ(5月3日):教室変更(予定)のお知らせ
立ち見の方が多いので、広い部屋を使わせていただけるようになりました。
5月11日からは1106教室(定員 374名)
で行う予定です。
さらに変更があるかもしれませんので、教務課からの案内に気をつけて下さい。
授業風景(4月27日)
- 4月13日(水)
予定されていた教室524に入りきれなかったので、1331に教室を変更しました。
連休明けまでは1331で行う予定です。
- ガイダンス
- 諸外国の同世代を意識せよ.
- 文系・理系という日本特有の観念にとらわれず、将来、国際社会で活躍できるよう
な教養を身につけよう。
- この講義では、シラバスに書かれていることをカバーするのはもちろん、
さらに進んだ内容も取り入れ、それを柔らかく噛み砕いて教えたい。
- 講義で一度聞いただけでわからなくても不安に思う必要はない。
分からないことを正面から受け止め、言語化し、抱え込み,自分の心の中で育てる。
分からないことを明確に意識できれば、より深いレベルの「分からない」へと移行し
たり、視野が開けたり、理解が深まったり、と前に進むことができる。
- (経済学等で使われている)数学をブラックボックスとして鵜呑みにせず、中身そ
のものを理解するための知力を鍛える。知ったかぶりは危険。中身そのものを理解で
きる知力を鍛えるために、この数学Iの講義では、公式等の知識ではなく、将来に役に
立つための思考力と吸収力を鍛えることを重視する。
- 東大の文系の数学の講義には、演習の授業が設定されていない。
しかし、このクラスでは演習問題を毎週作って配布する予定です。
講義の復習と演習問題を次の週までにしっかりと自習してください。
自習のために解答も同時に配布する予定です。
解答が難しくて分かりにくい場合は、積極的に質問するように。
(時間の許す限り、解答に補足説明を加えるなどフィードバックする)
- 講義では凝縮されたエッセンスを、できるだけ分かりやすく提示する.従って,な
るべく遅刻・欠席をしないことが望ましい.やむをえず出席できなかった場合は、講義の何倍
かの時間をじっくり使って復習しておいてほしい。
- 少ない概念で難しい問題を解く(小中高での数学) ⇒ 新しい概念を理解して、
論証を積み上げ、芯となるものを理解する(大学の数学)
- この講義を通じて、数学を好きになってほしい。
- 数学 I の内容のガイダンス
- 1変数関数とその微分の例:ある時刻での車の位置と速度(高校でも習う)
- 多変数関数とその微分の例:山のある位置における高さとその勾配(大学の内容)
[ 演習 と
解答 ]
- 4月20日(水)
第2回目も受講者が400名を越えました。
床に座って受講された学生さん、立ち見をされた学生さんは大変だったと思います。
現在空いている一番大きな教室を使っているのですが、教務課の方に
先週に引き続き、教室の調整をお願いしています。しばらくお待ちください。
演習問題を受け取れなかった方のために、アドミ棟のレポートボックスに
第1回、第2回の演習問題とその解答をおいています。
- おおまかな値を、知恵を使って概算し、実感できる形で表すトレーニング
- ネイピアの数eの一側面(複利計算)
- 関数の定義域の拡張
(数の羃乗のように,自然数に対して定義されている関数の定義域の拡張を考える。
その指針となるのが関数の連続性や関数等式である)
- 1変数関数の微分の定義,導関数
- ランダウの記号の導入
(具体的な使い方は次回の演習問題などで)
- 微分の2通りの解釈
1.速度として 2.グラフの接線の傾きとして
- ネイピア数eの別の側面(微分しても同じ形になる関数 e^x)
e^{x}のx=0での微分の計算
e^{x}の微分の計算
[ 演習 と
解答(改訂版,7/13 up) ]
- 4月27日(水)
半減期の定義(実例:1日に10%ずつ減少するときは約7日、1日に0.1%ずつ減少するときは693日)
離散から連続へ
微分方程式 ・・・ 「関数」が未知
(c.f. 一次方程式、二次方程式 ・・・ 「数」が未知)
微分方程式の立て方
- 法則を,微分方程式を用いて数学的に記述
a) 物理現象あるいは経済活動の記述において、法則を見抜いて未知の関数に関す
る方程式を立てる
b) いったん方程式を立てれば、その後は数学の問題として扱うことができる
c) ただし、微分方程式を具体的に解くのは通常は難しい(求積の初歩は2年生の理系の講義で習う)
- 微分方程式 f'(t)=-Af(t)の求積法
(例:放射性核種に対する微分方程式)
- 693日の意味と log_e 2
- Rolleの定理と論証
演習問題について:
質問があった部分に関して、補足説目を付け加えました (updated 5/17)
[ 演習 と
解答(改訂版,7/7 up) と
グラフ ]
- 5月11日(水)・17日(火)
- Cauchy の平均値の定理,平均値の定理
- 関数とその近似
- Taylor 展開
[ 演習 と
解答(改訂版,7/13 up) ]
- 5月18日(水)(同じ講義を5月24日(火)の18:30から行う予定です)
- Taylor 展開の精度(前回の続き) (Taylor 多項式,近似多項式,Lagrange の剰余項)
関数に対して,Taylor展開がどの程度の近似を与えるか
(視覚的には,元の関数のグラフに微小な範囲でどの程度似たグラフを与えるか)を,
Lagrange の剰余項で精密に評価できる.
- 定積分の定義
- 区分求積法
関数のグラフを長方形の集まりで近似する.
- 微積分学の基本定理
微分と積分は互いに逆の演算を与える.
[ 演習 と
解答(改訂版,7/13 up) ]
- 5月25日(水)
目標:領域Dにおける2変数関数の重積分を理解する
- 2変数関数関数とは?
- A積分の考え方(微分よりも素朴!),
B定義(抽象的な積分の定義),
C意味(具体的な関数に対する積分の意味),
D収束の問題点と歴史
- 積分の具体的計算法(来週)
1.1変数関数と2変数関数
日常生活の中にも関数の例が様々ある(ある地点における気温など)。
2−A) 積分の考え方
細かく分けて集める ということに関して2通りの方法を説明する
円の面積の求め方(その1、その2)
ドーナツの体積の求め方(その2)
巧妙で特別な場合に適用できる方法(その2)と、素朴だが普遍的な方法(そ
の1)
2−B) 重積分の定義
素朴だが普遍的な方法によって重積分を定義する(区分求積法)
2−C) 積分の意味
被積分関数を1とすれば積分の値は領域の面積に、
物質の密度とすれば重さ、
山の高さとすれば山の体積になる。
[ 演習 と
解答(改訂版,7/13 up) ]
- 6月1日(水)
(1)重積分の復習
関数が雨量,海抜からの高さ,恒等関数の場合の具体例をみながら先週の講義の復習(積分の考え方,定義,意味,問題提起)
(2)細かく分けて積み上げる考え方
積分論の歴史と問題提起
(2-a) 紀元前: 積分の萌芽
・ゼノンのパラドックス 「アキレスと亀」とその後のギリシャの科学への影響
・無限和の収束に関する3つの例(演習問題)
(2-b) 17世紀の積分(ニュートン・ライプニッツ)
・先月の講義
(2-c) 19世紀・20世紀の積分(リーマン積分・ルベーグ積分)へ
・最大に見積もった量と最小に見積もった量が一定の値に近づくとき積分値が定義できると考える。
・最大見積もりと最小見積もりの誤差評価(演習問題)
(2-d) 厳密な積分論から、新しい数学の対象が生まれる
例. フラクタル(マンデルブロー)
(3)積分の計算法
有限の離散的な和: 小計をとって合計する(家計簿の原理)
↓(極限移行)
連続的な和(積分): 一変数ごとに積分する(フビニの定理)
[ 演習 と
解答 ]
- 6月8日(水)
重積分の計算法
- 一変数ずつ積分を実行する累次積分が実際の計算に役立つ。
- 累次積分(フビニの定理)に関する2通りの証明
一つ目(先週の講義:家計簿における小計→合計 という考え方の極限値として証明する)
二つ目(今日の講義:図形の体積を用いる)
- (A) 任意の関数は2つの非負関数の差として表される
(B) 積分の加法性(例:ある地域における5月・6月の雨量)
という命題を用いることによって、フビニの定理の証明は
非負関数に対してのみ証明すれば十分であることがわかる。
(C) 非負関数の積分=その関数を高さとする図形の体積
と解釈する。そこで
フビニの定理=体積の計算の2通りの方法
と考えられる。
(視点1)
体積≒小さく分割された領域上の細長い柱の体積の総和
(視点2)
体積≒断面積の積分
この両者が一致する⇒フビニの定理
- 断面積の意味
- ライプニッツの記号
- 今日、お配りした演習問題は来週の講義に対応しています。
- 演習問題についてアンケートを行う予定です。今までにお配りした問題を解きながら
講義の復習をされることをお勧めします。
[ 演習 と
解答(改訂版,7/13 up) ]
- 6月15日(水)・6月21日(火)
- 導入
多変数の関数を理解する方法として,「目で見る」「式で理解する」「感じる」の3つが挙げられる.
これから扱う偏微分は,多変数関数を理解するための道具の1つである.
- 偏微分の定義
- 高階の偏微分
- 2変数関数の視覚的理解
視覚的に捉える方法を3つ:
i)z=f(x,y)のグラフをxyz空間に描く.
ii)xy平面に等高線を描く.
iii)xy平面に勾配ベクトルを描く.
【お知らせ】
6月22日(水)の授業時間にはアンケートの提出と質問を受け付けます。
レポートboxには6月28日(火)夕方まで、教務課のアンケートボックスで提出が可能です。
[ 演習 と
解答 と
アンケート ]
- 7月5日(火)夜・7月6日(水)
- 極限の記法〜ランダウの記号の扱い〜
(復習を兼ねて)
- 連続性
- (一階の)微分可能性
- Taylor展開とその応用例
- 1変数の合成関数とその微分
- 2変数の合成関数とその微分
多変数関数を一次元化して変化量を与える公式
[ 演習 と
解答(改訂版,7/13 up) ]
- 7月12日(火)夜・7月13日(水)
「多変数関数を理解する」二つの手法
- 一変数化(前回)
- 関数を目で見る(図形的に理解する)(今回)
多変数関数を精密に調べるには変数を減らす(たとえば一変数化する)
という方法のほか、2変数関数の場合には図形的考察も有効である.
融通無碍に両者を理解しよう。
- (準備1) 円周上の一次式の最大・最小・零点
微分ではなく、内積や余弦定理を用いて理解する
- (準備2) 平面上の点の運動
速度ベクトルを理解する
(例:等速直線運動,円運動)
- 2変数関数を図形的に理解する方法
- xyz空間にグラフ(曲面)を描く(3次元的)
- xy平面に等高線(曲線)を描く(2次元的)
例 z=x^2+y^2
z=x^2-y^2
- 勾配ベクトルの意味
- 2変数関数を理解する
前回の一変数化で扱った合成関数の微分公式を,
勾配ベクトルと速度ベクトルの内積の式であると解釈し,
2変数関数のグラフとの対応を読み取る.
[ FAQ(全20ページ中, 冒頭の1-5ページを更新, 7/19 up) ]
- 7月27日(水) 期末試験
[ 試験問題 ]
- 別の科目に関して、過去に私の講義を受けられた学生さん達の感想です
© Toshiyuki Kobayashi