\magnification=\magstep1
\documentstyle{amsppt}

\baselineskip 14pt
\nopagenumbers

\define\R{\bold R}
\define\Q{\bold Q}
\define\Z{\bold Z}
\define\N{\bold N}
\define\ep{{\varepsilon}}

\centerline{解析学IV 小テストNo\. 11の簡単な解説}
\medskip
\rightline{1996年7月16日}
\rightline{河東泰之}

\bigskip
全部簡単な問題のつもりだったんですが,あまりよくは
できていませんでした.特に,[1], [3]はLebesgueの収束定理を
使えば事実上1行でできる,きわめて簡単な問題のつもりだったんですが,
それほどはできていませんでした.なぜ変わったことを始めるのでしょうか.
積分とlimが出て来たら,真っ先に考えることはLebesgueの収束定理であり,
それではできないときに初めて,ほかのことを考えるものです.

この種の問題は期末試験にも必ず出ます.

\bigskip [1]
常に$|e^{-ix\xi}f(x)|=|f(x)|$だから,可積分関数$|f(x)|$で
押さえることにより,
Lebesgueの収束定理が使えて,$\lim$が積分の中に入って,
$\dsize\lim_{\xi\to\xi_0} \hat f(\xi)= \hat f(\xi_0)$である.

\bigskip [2]
$E_1=E(|f| > 1)$, 
$E_2=E(|f|=1)$, 
$E_3=E(|f| < 1)$とし,さらに,
$f_1(x)=|f(x)|\chi_{E_1}(x)$,
$f_2(x)=|f(x)|\chi_{E_2}(x)$,
$f_3(x)=|f(x)|\chi_{E_3}(x)$とおく.
仮定とBeppo Leviの定理より,
$\dsize\lim_{p\to\infty} \dsize\int_X f_1(x)^p\;d\mu=
\dsize\int_{E_1}\infty\;d\mu < \infty$だから,
$\mu(E_1)=0$である.
あとは,Lebesgueの収束定理(有界収束定理)より,
$$\lim_{p\to\infty}\int_X |f(x)|^p\;d\mu=
\lim_{p\to\infty}\int_{E_2} |f(x)|^p\;d\mu+
\lim_{p\to\infty}\int_{E_3} |f(x)|^p\;d\mu=\mu(E_2)$$
である.

\bigskip [3]
$0 < h < 1$としたとき,
$$\align
g(x+h)-g(x)&=
\int_{x+1}^{x+1+h} f(t)\;dt-
\int_{x-1}^{x-1+h} f(t)\;dt\\
&=
\int_{\R} (\chi_{(x+1, x+1+h)}(t)-\chi_{(x-1, x-1+h)}(t))
f(t)\;dt\endalign$$である.
この右辺の積分される関数の絶対値は
可積分関数$|f(t)|$で押さえられているので,Lebesgueの収束定理が使えて,
$h\to0$の時,上の式は$0$に収束する.$h < 0$のときも同様.

\bigskip
配点は1番から順に,30, 40, 30点です.
最高点は100点(1人),平均点は42.1点でした.
\bye