\magnification=\magstep1
\documentstyle{amsppt}

\baselineskip 14pt
\nopagenumbers
\NoBlackBoxes

\define\R{\bold R}
\define\Q{\bold Q}
\define\Z{\bold Z}
\define\N{\bold N}
\define\ep{{\varepsilon}}

\centerline{解析学IV 小テストNo\. 10の簡単な解説}
\medskip
\rightline{1996年6月25日}
\rightline{河東泰之}

\bigskip 
[3]はともかく,[1], [2]はとても基本的な問題のつもりだったん
ですが,ちっともできていませんでした.

\bigskip [1]
これは授業でやったものとそっくりの問題です.

積分記号下での微分が正当化できて,Cauchy-Riemann方程式が
成り立つことがわかる.

\bigskip [2]
これも,もろにLebesgueの収束定理が使える形をしています.

$|f_n(x)-f(x)|^p\le(|f_n(x)|+|f(x)|)^p\le 2^p g(x)^p$
で,$g(x)^p$は可積分だから,Lebesgueの収束定理が使える.

\bigskip [3]
左側の不等式は明らか.(これは,Fatouのlemmaなんかではありません.)

右側については,まず$g_n(x)=\dsize\max_{1\le j\le n} f_j(x)$とおく.
次に,$E_j=E(g_n=f_j)\setminus (E_1\cup \cdots \cup E_{j-1})$とおくと,
$E$は$E_j$たちのdisjoint unionになっている.
すると,
$$
\dsize\int_E g_n(x)\;d\mu=
\sum_j \dsize\int_{E_j} f_j(x)\;d\mu
\le\sum_j \mu(E_j)=\mu(E)$$
がわかる.

$g_n(x)$は正値で単調増大だから,
$\dsize\lim_{n\to\infty}g_n(x)=f(x)$と
Beppo Leviの定理によって,
$\dsize\int_E f(x)\;d\mu\le\mu(E)$がわかる.

\bigskip
配点は1番から順に,35, 35, 30点です.
最高点は80点(2人),平均点は30.8点でした.
\bigskip
演習の成績の付け方について質問が出たので,答えます.
まず,(悪いほうから2回分を除いた)平均でつけるんですが,
その平均点と成績(A〜D)の対応はまだ決めていません.
現在までのデータをふまえて言えば,例えば,70点以上が
A,45点〜69点がB,20点〜44点がC,20点未満がDといったところです.
(これはあくまで現時点における一つの案です.)
7月16日に最後の小テストをした後,補講の時にこの平均点とそれに基づく
仮の成績を付けて返します.そして,期末試験の成績がこの仮の成績より
ずっとよければ,プラスアルファがついたものが最終成績になります.
何が「ずっとよい」かは主観的なものですが,過去の例だとこれが適用される人は
5人くらいのオーダーでしょう.

\bye