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\define\ep{{\varepsilon}}

\centerline{解析学IV 小テストNo\. 7の簡単な解説}
\medskip
\rightline{1996年6月4日}
\rightline{河東泰之}

\bigskip[1] 例えば,$A\subset X$に対し,
$$\mu(A)=\cases \infty, &\hbox{$A\neq\varnothing$の時,}\\
0,&\hbox{$A=\varnothing$の時,}\endcases$$
とおけば,可積分なのは定数関数0だけなので一番簡単.

各点で測度0というような置き方がありましたが,この問題では
ほとんどいたるところ一致する関数を同一視してはいません.
($L^1(X)$の話を知っている人はそういう風に考えたくなる
でしょうが,残念でした.)

\bigskip[2] 下から適当な単関数で近似すれば簡単にできます.

\bigskip[3] $a_n$を$a^+_n$と$a^-_n$に分けて考えれば
いいので,$a_n\ge 0$としてよい.このときは,正の項からなる
級数はどのような順序で足しても和が不変だということを使って,
積分の定義に戻って考えれば同値性がわかる.(答案ではもっと詳しく書かないと
もちろん減点です.)

\bigskip[4] 
各$n\in\N$について,$X_n=E(f > 1/n)$とおくと,
ある$n$について$\mu(X_n) > 0$となる.そのような$X_n$
について,
$$\int_X f(x)\;d\mu\ge \int_{X_n} f(x)\;d\mu\ge
\mu(X_n)\frac{1}{n} > 0$$
となる.

$X_0=E(f > 0)$とおくと,$\mu(X_0)=\mu(X) > 0$だから,
「明らかに」$\dsize\int_{X_0} f(x)\;d\mu > 0$というのが
たくさんありましたが,これを証明することがこの問題の
ポイントで,少しも明らかなことではありません.
(明らかなのは$\dsize\int_{X_0} f(x)\;d\mu\ge 0$です.)

\bigskip
配点は各問25点です.
最高点は100点,平均点はxxx点でした.
\bye