\magnification=\magstep1
\documentstyle{amsppt}

%\baselineskip 14pt
\nopagenumbers

\define\R{\bold R}
\define\C{\bold C}
\define\Z{\bold Z}
\define\N{\bold N}
\define\ind{\text{ind}}
\def\limsup{\mathop{\overline{\hbox{lim}}}}
\def\liminf{\mathop{\underline{\hbox{lim}}}}

\centerline{解析学特別演習I・レポート問題}
\medskip
\rightline{1997年12月18日}
\rightline{河東泰之}

\bigskip

解析学特別演習Iの単位を落としている人のためのレポート問題です.
解析学IVの単位を(本試験または追試験で)取っていることが
レポート提出の資格です.それ以外の人は来年度また取ってください.

以下の問題をすべて解いて,1月14日までに
事務室に提出してください.

\bigskip
[1] 
$f(\xi)$を$(0,\infty)$上の有界可測関数とする.
$H=\{z\in\C\mid \hbox{Im}\; z > 0\}$とおき,$z\in H$の時,
$F(z)=\dsize\int_0^\infty f(\xi)e^{i\xi z}\;d\xi$とおく.
この積分の値が複素数値で定まり,$F(z)$が$H$上正則となることを
示せ.(使う定理,その定理が使える根拠をはっきりと
述べること.)

\bigskip
[2] $p\in(1,\infty)$に対して,複素数列の
空間$\ell^p(\Z)$を,
$\{(a_n)_{n\in\Z}\mid \sum_{n\in\Z} |a_n|^p < \infty\}$
と定義し,$a=(a_n)\in \ell^p(\Z)$
に対し$\|a\|_p=(\sum_{n\in\Z} |a_n|^p)^{1/p}$
とおく.

$x=(x_n)\in\ell^1(\Z)$を固定し,
$a=(a_n)\in \ell^2(\Z)$に対し,数列$x*a$を
$(x*a)_n=\sum_{k\in\Z} x_{n-k} a_k$と定める.次の3つを示せ.

(1) すべての$n\in\Z$について,無限級数$\sum_{k\in\Z} x_{n-k} a_k$
は絶対収束する.

(2) $x*a\in\ell^2(\Z)$である.

(3) $\|x*a\|_2\le \|x\|_1 \|a\|_2$である.

\bigskip
[3] 
次の3条件をすべて満たす,$[0,1]$上の実数値連続関数列
$\{f_n(x)\}_n$の例を一つあげよ.(きちんと説明を
つけること.)

(1) すべての$x\in[0,1]$で,$\dsize\lim_{n\to\infty} f_n(x)=0$.

(2) $\dsize\lim_{n\to\infty} \int_0^1 |f_n(x)|\;dx=0$.

(3) すべての$n$について$|f_n(x)|\le g(x)\;\hbox{a.e.}$となる
ような,$[0,1]$上の可積分関数$g(x)$は存在しない.

\bigskip
[4] $t>0$に対し,
$\dsize\int_0^\infty e^{-tx}\frac{\sin x}{x}\;dx$を求めよ.
計算の根拠をきちんと述べること.

\bigskip
[5] 
$f(x)$を$\R$上の実数値Lebesgue可測有界関数とし,
$|f(x)|\le C\;\;\hbox{a.e.}$となるような$C$の下限が1であると
する.$g(x)$が,$\R$上の実数値Lebesgue可積分関数で
$\dsize\int_\R |g(x)|\;dx\le1$となるもの全体を動くとき,
$\dsize\left|\int_\R f(x)g(x)\;dx\right|$の上限が1であることを
示せ.

\bye