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\newsymbol\varnothing 203F

\centerline{解析学IV 小テストNo\. 2}
\medskip
\rightline{1997年4月21日}
\rightline{河東泰之}

\bigskip
自分のノートを参照してよい.(ただし,本は見ないこと.)

\bigskip [1] $X$を任意の集合とする.$X$の部分集合$A$で,
次の条件を満たすもの全体を$\Cal F$とする.

「$A$または,$A^c$が有限集合である」

このとき,$\Cal F$は$X$上の有限加法族であるか.
理由をつけて述べよ.

\bigskip [2] 
$X=\{1,2,3,4,5\}$とする.$X$上の有限加法族$\Cal F$全体の中で,
$\{1\}$, $\{2\}$をともに含むもののうち,最小なものを
求めよ.ただし「最小」とは,$X$の部分集合の集合と
しての包含関係について言っている.

\bigskip [3] 
実数の集合$\R$の部分集合で,$\dsize A=\bigcup_{j=1}^n
(a_j,b_j]$, (disjoint union)の形のもの全体のなす
有限加法族を
$\Cal F$とする.($n=0$のときは,$A=\varnothing$と
解釈する.講義でやったように,$b_j=\infty$のときは,
$(a_j,\infty]=(a_j,\infty)$と解釈する.)
この形の$A$に対し,
$$m(A)=\sum_{j=1}^n \int_{a_j}^{b_j}\frac{1}{x^4+1}\;dx$$
と定義すると,この$m$は,$\Cal F$上の完全加法的測度
になることを示せ.

\bigskip [4] 
$\R$上の関数$f(x)$を,
$$f(x)=\cases 1,&\text{$x > 0$のとき,}\\
0,&\text{$x\le0$のとき,}\endcases$$
と定める.

上の[3]で定義された$\Cal F$上で,
[3]の問題文中の形の$A$について,
$$m(A)=\sum_{j=1}^n (f(b_j)-f(a_j))$$
と定める.上の$f(x)$は,単調増加だが,右連続ではないので,
講義で今日やった定理により,この$m$は,有限加法的測度だが,
$\Cal F$上完全加法的ではない.この,「完全加法的ではない」
ということを直接示せ.すなわち,互いにdisjointな$\{A_n\}_{n=1,2,3,\dots}
\subset\Cal F$で,$\dsize\bigcup_{n=1}^\infty A_n\in\Cal F$,
$\dsize\sum_{n=1}^\infty m(A_n)\neq
m(\dsize\bigcup_{n=1}^\infty A_n)$となるものを具体的に挙げよ,

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解答は別紙に書いて下さい.解答用紙の裏面を使用してもけっこうです.

\bye