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\define\R{\bold R}
\define\Q{\bold Q}
\define\Z{\bold Z}
\define\N{\bold N}
\define\e{\varepsilon}
\newsymbol\varnothing 203F

\centerline{解析学IV 小テストNo\. 8の簡単な解説}
\medskip
\rightline{1997年6月16日}
\rightline{河東泰之}

\bigskip [1]
(1) いろいろなやり方がありますが,多分一番簡単なのは
$(1-x)^{-1}=1+x+x^2+\cdots$と展開して単調収束定理を
使うことでしょう.(あとは項別に部分積分する.)

(2) Lebesgueの収束定理で$\varepsilon\to0$としたあと置換積分すれば
(1)に帰着します.

\bigskip [2]
(1) Fatouのlemmaですぐできます.

(2) これは簡単.

\bigskip [3]
全滅に近いできだったので,これは詳しく書きます.

まず,$f=f_+-f_-$と分けることにより,$f(x)\ge0$として
一般性を失わない.
$f(x)$が単関数であれば,結論が成り立つことは明らか.

一般の場合は,$f(x)$に一様収束する単関数の列$\{f_k(x)\}_k$
を取る.($f(x)$が有界なので,授業で
作ったような単関数の近似列は$f(x)$に一様収束している.
ここで$f(x)$の有界性を本質的に使っている.)
一方$\mu_n(X)\to\mu(X)$だから,$\mu_n(X) < C$となるような
定数$C$を取っておく.次に$X$上で
$|f_k(x)-f(x)| \le \varepsilon/3C$となるような$k$を選ぶ.このとき,
$f_k(x)$は単関数だからある$N$が取れて,$n\ge N$の時,
$|\dsize\int_X f_k(x)\;d\mu-\dsize\int_X f_k(x)\;d\mu_n|
< \varepsilon/3$となる.すると,
$\dsize\int_X |f(x)-f_k(x)|\;d\mu \le C\varepsilon/3C$,
$\dsize\int_X |f(x)-f_k(x)|\;d\mu_n \le C\varepsilon/3C$,
だから,
$|\dsize\int_X f(x)\;d\mu-\dsize\int_X f(x)\;d\mu_n|
< \varepsilon$となって結論が出る.

\bigskip
配点は[1] (1) 20, (2) 20, [2] (1) 20, (2) 10, [3] 30点です.
最高点は90点(1人),平均点は31.7点でした.
\bye