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\def\R{{\bold R}}
\def\ep{{\varepsilon}}

\centerline{1996年度解析学IV期末テスト解説}
\rightline{1996年9月11日}
\rightline{河東泰之}
\bigskip

答案の得点の横に赤で書いてあるのが,この講義の成績,その横に
青で書いてあるのが演習の成績です.
配点は,1番から順に,
20, 20, 20, 25, 25, 20, 25点で合計155点満点です.
最高点は119点,平均点は48.2点,得点の分布は次のとおりです.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&& \omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--39 (点) && 40--49 && 50--59
&& 60--69  && 70--79 && 80--89 && 90-99 && 100--109 && 110-- & \cr
\vsp\t
&  15(人) && 7 && 1 && 4 && 5 && 4 && 2 && 1 && 2 & \cr
\vsp\t
}}$$

成績と点数の対応は次のとおりです.
(試験が欠席の人はこれに入っていません.)
$$\align
\text{75点以上}&A\;\;\;(\text{12人}),\\
\text{60点以上74点以下}&B\;\;\;(\text{6人}),\\
\text{45点以上59点以下}&C\;\;\;(\text{6人}),\\
\text{44点以下}&D\;\;\;(\text{17人}).
\endalign$$

また,演習の成績が,7月に付けた仮の成績からアップした人は
2人だけです.それらの人には,青字の成績の横にプラスの記号が
ついています.

講義の単位を落とした人には追試があります.12月頃の予定です.
また,演習の単位を落とした人には
レポート提出を課す予定です.いずれも掲示に注意してください.

以下,各問に略解,解説を付けます.実際の答案では
もっと詳しく説明しないと減点になります.

[1] 各問$-15$点〜5点でつけました.マイナスというのは,他の問題が
できているぶんから引く,ということです.つまり[2]から[7]で,
50点分できていても,この4つが白紙なら総点は$-10$点です.

できなかった人はよく復習してください.

[2] これはほとんど授業でやりました.Beppo Leviまたは,
Lebesgueの収束定理ですぐできます.ただ,$\Phi(E)$が
$\pm\infty$でない有限な実数であることは,きちんと断って
下さい.もちろん簡単なことですが,断っていない人は
2点減点です.

[3] Fatouのlemmaを使えば明らかです.(Lebesgueの収束定理を
使うのではありません.)

[4] Lebesgue測度が0なら,
$\dsize A\subset \bigcup_{k=1}^\infty I_{jk}$,
$\dsize\sum_{k=1}^\infty \mu(I_{jk}) < 1/2^j$となる開区間
$I_{jk}$が取れる.これらを全部あわせたものを取ればよい.

逆に(1), (2), (3)を満たす$I_n$があれば,すべての
$k$について,
$A\subset\dsize\bigcup_{n=k}^\infty I_n$だから,
$A$のLebesgue測度は0になる.

[5] (1) 授業でやった$L^1(\R)$の時の証明を
まねすればできる.

(2) まず,
Cauchy-Schwarzより,$f*g$が定義できる.
$t\in \R$に対し,$f_t(x)=f(t-x)$とおくと,
(1)を使って$t\to s$の時,$\|f_t-f_s\|_2\to0$が示せる.
これと,Cauchy-Schwarzで連続性が出る.

[6] (1) 無限和のように見えるが,実は$x$または$y$を固定すれば
有限和なので簡単に計算できて,
前者の積分は0,後者は1となる.

(2) $f(x,y)$は可積分でない.(答案ではちゃんと説明が
必要です.)

[7] (1) $\nu$は,
半開区間有限個のdisjoint union全体の上で有限加法的である.
よって,4/30の授業の定理より,半開区間有限個のdisjoint union
はすべて$\Gamma$-可測である.$\Gamma$-可測な集合全体は
完全加法族だから,Borel集合はすべて$\Gamma$-可測な集合の
族に属する.

(2) [2]で示したように,$\nu$は,
半開区間有限個のdisjoint union全体の上で完全加法的である.
よって,Hopfの拡張定理より,$\nu$のBorel集合全体への
拡張は一意的である.一方,$\R$上のBorel集合$A$について
$\dsize\int_A f(x)\;dx$を対応させる写像は明らかに
$\nu$の拡張なので,一意性より結論を得る.

\bye