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\centerline{解析学特別演習II・小テスト解説(3)}
\rightline{1999年11月9日}
\rightline{河東泰之}
\rightline{{\tt e-mail: yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}}
\rightline{{\tt http://kyokan.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

\bigskip
配点は[1]から順に40, 30, 30点です.
平均は24.9点,最高は98点でした.
簡単な解説をつけます.

\medskip
[1] 一番簡単な方法は,こういうものでしょう.
授業でやったとおり,$e^{-|x|}$のFourier変換は
$\dfrac{2}{1+\xi^2}$なので,逆変換したものの
変数を書き換えて,$\dfrac{1}{1+x^2}$の
Fourier変換は$\pi e^{-|\xi|}$です.あとは
$\cos x=\dfrac{e^{ix}+e^{-ix}}{2}$として
$\dfrac{1}{1+x^2}$のFourier変換に持ちこめば,
答えは$\dfrac{\pi}{2}(e^{-|\xi+1|}+e^{-|\xi-1|})$
になります.

留数で直接やっても,それほどは難しくありませんが,$\xi$
の値によってちゃんと場合わけすることが必要で,
みんなかなり間違えていました.授業でも言ったとおり,
$|\xi|\to\infty$のときに0に収束していないようなもの
は明らかに誤りですから,そういう答えを書いていては
いけません.

\medskip
[2] これは直接留数でやろうとすると,ちゃんとできている
人もいましたが,さらにめんどうです.次のようにやれば
かなり簡単にできます.

授業でやったとおり,$\chi_{[-1,1]}$のFourier
変換が$\dfrac{2\sin\xi}{\xi}$ですから,
$\chi_{[-1,1]}*\chi_{[-1,1]}$のFourier変換が
$\dfrac{4\sin^2\xi}{\xi^2}$です.これを逆変換でもどした
式で変数を書きかえれば,
答えは
$$\frac{\pi}{2} \chi_{[-1,1]}*\chi_{[-1,1]}(\xi)
=\cases
\pi(1+\xi/2), &\text{$-2 \le \xi \le 0$のとき},\\
\pi(1-\xi/2), &\text{$0 \le \xi \le 2$のとき},\\
0,&\text{その他のとき},
\endcases$$
になります.

\medskip
[3] $f(x+iy)$と書いて,$x,y$で偏微分すると,
積分記号下の微分ができる形になっていて,Cauchy-Riemann
方程式$\dfrac{\partial f}{\partial y}= i
\dfrac{\partial f}{\partial x}$が成り立ちます.
だから正則です.
(積分記号下の微分ができる理由をちゃんと書かなければ
当然減点です.)

\bye