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\def\ran{\rangle}
\def\supp{\text{supp}}

\centerline{解析学VI期末テスト解答解説}
\rightline{2012年2月21日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}


\bigskip
期末試験の配点は,[1], [2], [3]が各20点,[4], [5], [6]が各
30点の150点満点です.
最高点は150点(2人),平均点は77.1点で得点分布は次のとおりでした.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&&\omit &&\omit &\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--19 (点) && 20--39 && 40--49 && 50--59  && 60--69 && 70--79 && 80--89 &&
90--99 && 100-- & \cr
\vsp\t
& 2(人) &&  3 && 2 && 5 && 6 && 0 && 2 && 5 && 9 & \cr
\vsp\t
}}$$

成績との対応は,
45点未満がD,45点〜59点がC,60〜79点がB,
80点以上がAです.ただし,演習の
小テストの成績が良かったため,これに
プラスアルファをつけた人が2人います.
この結果,A, B, C, Dの人数はそれぞれ,17, 5, 7, 5人となりました.
この点数と成績が答案の左上に赤字で書いてあります.プラスアルファが
ついた人にはプラス記号がついています.

また演習の成績は最初に言ったとおり,8回分のうち1番悪い1回分を
除いた平均点に,さらに臨時の1回分は数えると平均点が上がる場合のみ,
算入しました.この点数の最高点は85点(1人),平均点は42.5点で,
分布は次のとおりです.
(ただし欠席の回は0点として,一度でも受けた人は表に入っています.)

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit  &&\omit
&&\omit &&\omit &\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--19 (点) && 20--39 && 40--49 && 50--59  && 60--69 && 70--79
&& 80--89 & \cr
\vsp\t
& 7(人) && 4  && 4 && 6 && 2 && 3 && 2 & \cr
\vsp\t
}}$$

この点数の成績との対応は,
19点未満がD,20点〜29点がC,30〜59点がB,60点以上がAとなって
います.ただし,こちらも期末
試験がよくできたことによるプラスアルファをつけた人が4人います.
この結果,A, B, C, Dの人数はそれぞれ,11, 7, 3, 7人となりました.
この点数と成績が答案の右上に青字で書いてあります.プラスアルファが
ついた人にはプラス記号がついています.
しかし,解析学特別演習II
は俣野先生との共同担当なので,この成績に俣野先生の分を総合した
ものが実際の成績表につくことになります.すなわち,両方でC以上の成績
がついた人について,二つの成績の良い方が,実際に成績表につく
総合成績です.

以下各問の略解,解説をつけます.簡単に示せるところの説明は簡単に
すませてあります.実際の答案でもそのあたりはあまり厳しくつけて
ありません.Fourier 変換の定義でどこに$2\pi$をつけるかは取り決めの
問題なので,授業と違うものを使っていてもO.K.ですが,当然
首尾一貫している必要があります.また,計算法は一例を示しただけで,
当然他のやり方もいろいろあります.

\bigskip
[1] $\varphi''(x)+\varphi(x)=0$ を解くことになるので,
$\varphi(x)=ae^{ix}+be^{-ix}$ ($a,b$は任意の定数)です.

\bigskip
[2]
$$\sin x \cos x=\frac{\sin 2x}{2}=
\frac{e^{2ix}-e^{-2ix}}{4i}$$
と,$\dfrac{1}{1+x^2}$ の Fourier 変換が
$\pi e^{-|\xi|}$ であることより,答えは
$$\frac{\pi i}{4}(e^{-|\xi+2|}-e^{-|\xi-2|})$$
です.

\bigskip
[3] (1) 定義通りチェックすればすぐできます.

(2) たとえば $a_n=e^n$ とすればできます.

\bigskip
[4] まず,級数は一様絶対収束して周期 $2\pi$ の関数を
与えることは明らかです.そこで,$x\in[0,2\pi]$ の時
のみ考えれば十分なので以下そうします.($x\in
[-\pi,\pi]$ で考えてももちろんO.K.です.そうすると
見かけ上違う式が出ます.)

まず,問題の式を $\R$ 上の超関数と思って,$T$と書きます.
超関数としては項別微分が自由にできるので,4回微分して
Poisson の和公式を使えば,
$$T''''=\sum_{n\neq0}e^{inx}=2\pi \sum_{n\in\Z}\delta_{2\pi n}-1$$
を得ます. $[0,2\pi)$ 上で $f(x)=-x$ となる関数を周期 $2\pi$ で
$\R$ 全体に延ばしたものを再び $f(x)$ と書くと,超関数として
$f'=T''''$ であることより,超関数として $T'''=f+a$ ($a$ は定数)
であることがわかります.次に $f$ を普通に積分することにより
$T''$ を求めますが,$T''$ は項別微分したものが普通に一様絶対
収束しているので $\R$ 上の周期 $2\pi$ の連続関数です.この周期
性より$a=\pi$ がわかり,$T''=-\dfrac{x^2}{2}+\pi x+b$
($b$ は定数) ということがわかります.同様にして,
$T'$, $T$ を求めていくと,
$T'=-\dfrac{x^3}{6}+\dfrac{\pi}{2}x^2-\dfrac{\pi^2}{3}x+c$,
$T=-\dfrac{x^4}{24}+\dfrac{\pi x^3}{6}
-\dfrac{\pi^2 x^2}{6}+d$ が得られます.($c,d$ は定数.)
$x=0$ とおくことにより,$d=\dfrac{\pi^4}{45}$ がわかるので,
答えは $$-\frac{x^4}{24}+\frac{\pi x^3}{6}
-\frac{\pi^2 x^2}{6}+\frac{\pi^4}{45}$$
です.

\bigskip
[5] 特性関数 $f(x)=\chi_{[-1,1]}(x)$ と,
$g(x)=e^{-|x|}$ はいずれも $L^1$関数で,これらの
Fourier 変換はそれぞれ,
$\hat f(\xi)=\dfrac{2\sin \xi}{\xi}$ と,
$\hat g(\xi)=\dfrac{2}{1+\xi^2}$ です.
よって,$f*g$ の Fourier 変換は,
$\dfrac{4\sin \xi}{\xi(1+\xi^2)}$ となり,
$\dfrac{\sin \xi}{\xi(1+\xi^2)}$ の
Fourier 逆変換が$\dfrac{f*g}{4}$ となります.
このことから,符号と係数を考えれば,答えは
$$\cases \dfrac{\pi}{2}
(e^{\xi+1}-e^{\xi-1}),&\hbox{$\xi \le -1$の時,}\\
\dfrac{\pi}{2}
(2-e^{\xi-1}-e^{-\xi-1}),&\hbox{$-1\le \xi \le 1$の時,}\\
\dfrac{\pi}{2}(e^{-\xi+1}-e^{-\xi-1}),
&\hbox{$1\le \xi$の時,}\endcases$$
となります.

\bigskip
[6] (1) $f*g$ が有界であることからすぐわかります.

(2) $f,g$ が共に急減少である時は,急減少の試験
関数にあてることにより,直接わかります.
一般の時は,$L^2$関数を急減少関数で$L^2$ 近似
すればできます.(近似がちゃんとうまくいくこと
を示すには多少の議論が必要です.)

\bye