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\centerline{解析学特別演習II・小テスト解説 (4)}
\rightline{2007年12月17日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

配点は,各問25点です.
平均点は31.2点,最高点は75点(1人)でした.

\medskip
[1] $0 < r < 1$ に対し,$\sum_{n\in\Z}a_n r^{|n|} e^{inx}/2\pi$
を考えると,この級数は一様絶対収束して連続関数を表します.
$r\to1-$ のとき,一方では授業でやったことより,この関数は
$L^1$-関数 $f$ に $L^1$-収束し,他方ではこの関数は
$L^2$-関数 $\sum_{n\in\Z} a_n e^{inx}$ (無限和は
$L^2$-norm 収束) に$L^2$-収束します.よって,$f$ は $L^2$ となります.

\medskip
[2] 急減少関数である $f(x)=1/ \cosh \alpha x$ $(\alpha>0)$に
ついて Poisson の和公式を使います.この関数の Fourier 変換は授業で
やったので,
$$2\pi \sum_{n\in\Z} \frac{1}{\cosh 2n \alpha\pi} =
\frac{\pi}{\alpha}\sum_{n\in\Z}\frac{1}{\cosh(n\pi/2\alpha)}$$
を得ます.$2\alpha=t$ とおいて整理すれば,
$t f(\pi t)=f(\pi/t)$ が出ます.

\medskip
[3] $[-\pi,\pi]$ 上の関数 $x$ の Fourier級数展開が
$$\sum_{n\in\Z, n\neq0} i\frac{(-1)^n}{n}e^{inx}$$
であることより,
$x$ を自分自身と convolution して $-2\pi$ でわったものが答えです.
$[-\pi,\pi]$ の外では周期 $2\pi$ に延長されていることに注意して
計算すると,答えは
$[0,2\pi]$ で $(x-\pi)^2/2-\pi^2/6$ という関数を周期$2\pi$ で
実数全体に延長したものになります.($[-\pi,\pi]$ の範囲で書くと$|x|$が
入った形になります.)
先に答えがわかればもちろんこれを Fourier 級数展開して問題の式が
出ますが,ほかの方法としてはたとえば,$[0,2\pi]$ で $ax^2+bx+c$ の形で
探して係数を決めてもこの答えが出ます.

\medskip
[4] [3] と同様の考察で,$[0,2\pi]$ で
$(x-\pi)^3/6-\pi^2(x-\pi)/6$ を Fourier 級数展開すると
$\sum_{n\neq0,n\in\Z}\frac{-i}{n^3} e^{inx}$
となります.これは一様絶対収束なので各点で等号が成立し,
$x=\pi/2$ とおくと,答え $\pi^3/32$ が出ます.

\bye