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\centerline{解析学特別演習II・小テスト解説 (3)}
\rightline{2007年11月12日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

配点は,[1]が30点,[2]が10点$\times3$, [3]が両方向20点ずつです.
平均点は54.2点,最高点は95点(2人)でした.

一部難しい問題も出していますが,習ったばかりなわけだし,
その場で解けないことは別にそれほど問題ではありません.
時間が終わった後も考える,ほかの人と話し合ったり,本を
読んだりして考える,返ってきた答案や解説を見て考える,
というところまで含めて演習ですので,とにかく自分で考えること
が重要です.(解説は簡単なことは省略してあるので,
すぐにはわからない
場合はよく考えてみてください.)

\medskip
[1] $p=2$ のときはもちろん通常の内積で O.K. です.
それ以外のときは中線定理が不成立な例が簡単に作れるので
内積は入れられません.

\medskip
[2] (1) 凸であることはすぐにわかります.閉であることを示すため,
$K$ 内の点列 $\{f_n\}_n$ が $f$ に $L^1$-収束していたとします.
このとき,各区間 $[k,k+1]$ 上に制限しても,$\{f_n\}_n$
は $f$ に $L^1$-収束しています.($k$ は整数です.)
$\{f_n\}_n$ を $[k,k+1]$ 上
に制限して $L^1([k,k+1])$ の点列と思ったものはスカラーの成す列で,
そのスカラーたちは Cauchy 列ですから,$[k,k+1]$ での収束先も
スカラーです. さらに $(-\infty,0)$ でほとんどいたるところ
$f(x)=0$ であることもすぐわかるので,$f$ というのは,
$\dsize\sum_{k=1}^\infty c_k\frac{k+1}{k}\chi_{[k-1,k]}$
の形をしています.
(各 $c_k$ は0以上の実数.) $g=\dsize
\sum_{k=1}^\infty \frac{k}{k+1}\chi_{[k-1,k]}$ とおくと,
これは $L^\infty(\R)$ の元なので,
$$\int_{-\infty}^\infty g(x)f_n(x)\;dx\to
\int_{-\infty}^\infty g(x)f(x)\;dx$$
となります.このことより,$\sum_{k=1}^\infty c_k=1$ が出ます.

(2) $c=1$ はすぐにわかります.

(3) $f=\dsize\sum_{n=1}^\infty t_n \frac{n+1}{n}\chi_{[n-1,n]}$
のとき,$\|f\|_1=\dsize\sum_{n=1}^\infty t_n \frac{n+1}{n}$ ですが,
どれかの $t_n$ は正なので,
$\dsize\sum_{n=1}^\infty t_n \frac{n+1}{n} >
\sum_{n=1}^\infty t_n=1$ となって等号は成立しません.

\medskip
[3] まず (1) を仮定します.$f=\frac{1}{2\pi}
\sum_{k\in\Z}c_k e^{ikx}$ が $L^2$-収束の意味で成り立ちますが,
(1) で $N=2$ とした場合より $\sum_{k\in\Z}|c_k| < \infty$
となります.よって,上の式の右辺は一様絶対収束し,それが
$f$ を与えます.次に (1) の仮定より
$f=\frac{1}{2\pi} \sum_{k\in\Z}c_k e^{ikx}$
において積分記号下の微分が何回でもできるため,微分と無限和の
順序交換ができます.これより,(2) が出ます.

次に (2) を仮定します.$f$ は何回微分してもやはり周期 $2\pi$
を持つ連続関数ですから,部分積分を繰り返し使えば
$\sum_{k\in\Z} (|k|^{N+1} |c_k|)^2$ が収束することがわかります.
$\sum_{k\in\Z,k\neq0} |k|^{-2}$ が収束することより,
$\sum_{k\in\Z} |k|^{N} |c_k|$ が収束します.

\bye