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\centerline{解析学特別演習II・小テスト解説 (3)}
\rightline{2006年12月4日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

この試験が本来の時間に実施できず,たいへん申しわけありませんでした.

採点はTeaching Assistantの石谷君です.
平均は77点,最高は100点(6人)でした.
簡単な解説をつけます.

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[1] (20点) 留数計算の有名な例として,どこにでも出ているので答えは省略
します.(たとえば Ahlfors の Chapter 4, 5.3 の3.)

\medskip
[2] (30点) $f\in C_0(\R)$ の場合は簡単で,一般の場合は
$C_0(\R)$ が $L^p(\R)$ で稠密なことを用いれば,$p=1$ の場合
と同様にできます.

\medskip
[3] (30点) $f*f*\cdots*f$ の Fourier 変換は,$(\hat f)^k$ になるので,
Fourier 変換してこれになる関数を探すのが簡単です.
答えは $\dfrac{k\pi^{k-1}}{k^2+x^2}$ です.

\medskip
[4] (20点) 条件を Fourier 変換すること
により,$(\hat f(\xi))^k=\hat f(k\xi)$ となります.また,
$f(x)=\overline{f(-x)}$ なので,条件の $k=2$ の場合より,
$\hat f(2 \xi)\geqq 0$,すなわち $\hat f(\xi)\geqq 0$ が
わかります.任意の正の整数 $k$ について
$(\hat f(\xi))^k=\hat f(k\xi)$ であるので $\xi$ に
$\xi/k$ を代入して両辺の
$k$ 乗根を取ったものとあわせて,正の有理数 $p$ に
ついて $(\hat f(\xi))^p=\hat f(p\xi)$ となります.
$\hat f(\xi)$ の連続性によって,
$p$ を正の実数としても同じ式が成り立ちます.$f(x)=f(-x)$ を用いて,
$\hat f(\xi)=c^{|\xi|}$, $c\geqq 0$ となりますが,
$|\xi|\to\infty$ のとき,
$\hat f(\xi)\to0$ でなくてはならないので, $0\leqq c < 1$ です.
$c=0$ のときは,$f(x)=0$ でこれは明らかに O.K. なので他の場合を
考えると,$\hat f(\xi)=e^{-c|\xi|}$, $c > 0$ と書けます.
逆 Fourier 変換でこれを戻して,
$f(x)=c/(\pi(x^2+c^2))$, $c$ は任意の正の実数,
または $f(x)=0$ が答えとなります.
\bye