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\centerline{1996年度解析学VII・関数解析学・演習問題}
\rightline{5/22/1996}
\rightline{河東泰之}

\bigskip [19]
$L^p(\Omega)^*$が$L^q(\Omega)$であるという授業の証明で,
「すぐできる」と言って飛ばした次の4点について,証明せよ.

(1) $g\in L^1(\Omega)$で,$\Omega$の任意の可測集合
$E$について,$\mu(E)>0$ならば
$\left|\dfrac{1}{\mu(E)}\dsize\int_E g(x)\;d\mu\right|\le
C$であるとする.($C$は定数である.)この時,
$|g(x)|\le C$が$\Omega$上ほとんどいたるところ成り立つ.

(2) $\mu(\Omega)<\infty$の時,$L^\infty(\Omega)$は$L^p(\Omega)$
で稠密である.

(3) $\Omega=\bigcup_{n=1}^\infty \Omega_n$で,各$\Omega_n$について
$\mu(\Omega_n)<\infty$であり,また$\Omega_n\subset\Omega_{n+1}$で
あるとする.各$g_n\in L^q(\Omega_n)$を,$f\in L^p(\Omega_n)$ならば
$\phi(f)=\dsize\int_\Omega f(x)g_n(x)\;d\mu$となるように取る.
この時,$\Omega_n$上ほとんどいたるところ,
$g_n(x)=g_{n+1}(x)$である.

(4) 上の状況で$\bigcup_{n=1}^\infty L^p(\Omega_n)$は
$L^p(\Omega)$で稠密である.

\bigskip [20]
$\ell^1$から$c_0$への作用素$T$を
$\{Tx\}_n=\{\sum_{m\ge n} x_m\}_n$で定める.これが有界線型作用素
であることを示せ.このnormは何か.

\bigskip [21]
$X$をBanach空間,$Y$をその(閉とはかぎらない)部分空間とする.
$Y$のannihilater $Y^\bot$を,
$$Y^\bot=\{\phi\in X^*\mid \phi(y)=0,\;\; \forall y\in Y\}$$
と定め,また$X^*$の部分空間$Z$に対し,
$$Z^\bot=\{x\in X\mid \phi(x)=0,\;\; \forall \phi\in Z\}$$
とおく.この時,次の各命題を示せ.

(1) $Y^\bot$は$X^*$の閉部分空間である.

(2) ${Y^\bot}{}^\bot$は$Y$の閉包に等しい.

(3) もし,$Y$が$X$の閉部分空間であれば,
$Y^*$は,$X^*/Y^\bot$と同型である.

\bigskip [22]
sup normに関するBanach空間$C[0,1]$を考える.
この部分集合$X_n$を,
「すべての$y\in[0,1]$に対して,$|f(x)-f(y)|\le n |x-y|$」
となるような$x\in[0,1]$が存在するような$f(x)$の集合とする.
各$X_n$は閉集合で内点を持たないことを示せ.このときBaireの
category定理から何がわかるか.

\bigskip [23]
$X, Y, Z$をBanach空間とする.$X\times Y$から$Z$への作用素
$T$が次の条件を満たすとする.

(1) 各$x\in X$に対し,$y\mapsto T(x,y)$は$Y$から$Z$への有界線型
作用素である.

(2) 各$y\in Y$に対し,$x\mapsto T(x,y)$は$X$から$Z$への有界線型
作用素である.

この時,$X$で$x_n\to x$, $Y$で$y_n\to y$であれば
$Z$で$T(x_n,y_n)\to T(x,y)$であることを示せ.

\bigskip
\bigskip
これまでの演習問題の中から次のように選択して,6月5日(水)の
授業の際に提出してください.採点して返却します.

(1) [3], [6], [8], [17], [19]の中から2題.

(2) [5], [12], [15], [21]の中から1題.

(3) [7], [13], [22], [23]の中から1題.

この後,もう1回,7月17日にレポートを出してもらいます.2回の
レポートは各20点満点で採点します.その点数を
それぞれ$x_1$, $x_2$点とし,期末試験の点を$x$点としたとき,
最終成績は$0.6x+\max(0.2x,x_1)+\max(0.2x, x_2)$点とします.

\bigskip
これまでの演習問題のファイルは,
http://www.ecc.u-tokyo.ac.jp/$\tilde{\hphantom{x}}$nyasu/
で取れます.
\bye