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\centerline{1996年度解析学VII・関数解析学・演習問題}
\rightline{5/1/1996}
\rightline{河東泰之}

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[8] $X$をBanach空間とする.$X$の完備化$\tilde X$は自然に$X$と同型に
なることを示せ.

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[9] 有限次元Banach空間$X$から有限次元Banach空間$Y$への線形写像は
自動的に有界になることを示せ.

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[10] Baireのcategory定理で完備性の仮定を落としたときは結論が
成り立たないことがあることを例によって示せ.

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[11] 次の条件を満たす例をあげよ.

$T$はBanach空間$X$からBanach空間$Y$への有界線形写像で,
$T$の値域は無限次元だが,$T$は開写像ではない.

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[12] $X$を無限次元Banach空間とする.$X$の中に次の
条件を満たすような列$\{x_n\}_{n=1,2,3,\dots}$は存在しない
事を示せ.(ヒント: Baireのcategory定理を使う.)

$X$の任意の元は,$\{x_n\}$のうちの有限個の1次結合で表される.

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[13]* 次の命題を示せ.下に方針のヒントをつけるが別の方針でできれば
もちろんそれでもよい.

$(\Omega,\mu)$を測度空間で$\mu(\Omega)=1$とする.$p\in[1,\infty)$に対し,
$X$を$L^p(\Omega)$の閉部分空間とする.もし,$X\subset L^\infty(\Omega)$
であれば,$X$は有限次元である.(Grothendieck)

[方針] (1) $T:(X, \|\;\;\|_\infty)\to (X,\|\;\;\|_p)$を$Tf=f$と定め,
これに開写像定理を適用する.

(2) $p=2$の時は,開写像定理から定まる定数
$C$が取れて,$X$の($L^2$-内積に関する)正規直交系$f_1,f_2, \dots, f_n$
に対し,$\int_\Omega \sum_{j=1}^n |f_j(x)|^2\;dx\le C^2$となることを
示す.

(3) $p\in[1,2)$の時は,$1/(2/p)+1/q=1$となるように$q>1$を取る.
H\"olderの不等式を用いて,$p=2$の場合に帰着させる.

(4) $p>2$の時も,$p=2$のときに帰着させる.


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後で問題がたまったところで,○○題選んで解け,といった形で
レポートを出してもらいます.

\bye