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\centerline{1996年度解析学VII・関数解析学・演習問題}
\rightline{4/24/1996 河東泰之}
\rightline{yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}

\bigskip [1] $\ell^1$は$\ell^2$の部分空間であることを示せ.
これは閉部分空間か?

\bigskip [2] $X,Y$をBanach空間とする.この直積$X\times Y$に
normを$\|(x,y)\|=\sqrt{\|x\|^2+\|y\|^2}$で定める.

(1) これが本当にnormであることを示せ.

(2) このnormは授業で$X\times Y$に定めた別のnormと同値であることを
示せ.

\bigskip [3] $\ell^\infty$の部分空間$X$を
$$X=\{ \; \{a_n\}_n\in\ell^\infty\mid \lim_{n\to\infty} a_n
\hbox{が存在する}\}$$
と定める.この時,$X$は$\ell^\infty$の閉部分空間であることを示せ.

\bigskip [4] 複素平面上の開単位円板$D$上で有界正則な関数$f(z)$
全体を$X$とおき,$f\in X$に対し,$\|f\|=\dsize\sup_{z\in D}|f(z)|$
とおく.このnormで$X$はBanach空間になることを示せ.

\bigskip [5] $p\in(1,\infty)$を一つ決める.複素平面上の
開単位円板$D$上で正則な関数$f(z)$と$0\le r<1$に対し,
$$M_p(f,r)=\left(\frac{1}{2\pi}\int_0^{2\pi} |f(re ^{i\theta})|^p\;
d\theta\right)^{1/p}$$
とおき,さらにこのような$f$の中で,
$\dsize\lim_{r\to 1-} M_p(f,r)<\infty$となるもの全体を$H^p$と
おき,$f\in H^p$に対し,$\|f\|=\dsize\lim_{r\to 1-} M_p(f,r)$
と定める.これで$H^p$上のnormが定まり,$H^p$はBanach空間になることを
示せ.

(これは,Hardy空間といわれるものです.Sobolve空間と同じ記号で
書くことになっていますが,違うものです.)

\bigskip [6] 4月17日の授業で,次の定理を示した.

$X$をBanach空間,$Y$をその閉部分空間で,$X\neq Y$とする.
任意の$c>0$に対し,$x\in X$で$\|x\|=1$, $\|[x]\|>1-c$となるものが
存在する.

次の2つの場合にはそれぞれ,$x\in X$を,$\|x\|=1$, $\|[x]\|=1$と
なるように取れることを示せ.

(1) $X$がHilbert空間の場合.

(2) $X$が有限次元の場合.


\bigskip [7]* 上の問題で,$x\in X$を,$\|x\|=1$, $\|[x]\|=1$と
なるようには取れないような$X,Y$の例をあげよ.

\bigskip *印は難しい問題です.

\bye