河東泰之の2016年度研究概要

完全有理的な局所共形ネット2つからできるフル共形場理論のカップリング行列 について,モジュラー不変性が成り立つのはフル共形場理論の表現論が自明な 時であり,またその時に限ることが知られている.一方2つの局所共形ネットが 同じ場合,モジュラー不変行列を 二つかけてもモジュラー不変性が保たれることは自明であり,その分解規則は モジュラー不変行列のフュージョンルールとして知られている. これについては,Evans-Pinto, Fuchs-Runkel-Schweigert の研究があり, フル共形場理論と,カイラル共形場理論の局所的とは限らない延長の関係 に基づき,Q-system の braided product としての解釈が知られている. この「テンソル積」とその直和分解の構成を,二つの局所共形ネットが同じとは 限らない場合に一般化した.また物質のトポロジカル相の文脈では, これは gapped domain wall の合成にあたるものとなっている.

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