河東泰之の2015年度研究概要

頂点作用素代数と(作用素環の)局所共形ネットはカイラル共形場理論を 数学的に扱うための二つの枠組みであり,両者の間に様々な類似性は あるものの,これまで直接的な関係は見つかっていなかった. Carpi, Longo, Weiner と共に,強局所性という条件を付ければ 頂点作用素代数から局所共形ネットを構成することができ,この局所 共形ネットから元の頂点作用素代数が復元できることを示した. さらに強局所性が成り立つための簡単な十分条件も示した.これは 十数年来の懸案を解決するものである.さらに頂点作用素代数としての 自己同型群と局所共形ネットとしての自己同型群が同じであることも示した. この結果は,(すでに分かっていた)ムーンシャイン頂点作用素代数 を含め多くの例に適用できる.

物質のトポロジカル相の間の gapped domain wall というものが物性物理 で研究されているが,その数学的定義を与え,2015年のLan, Wang, Wen の予想は正しくないことを示した.

河東のホームページに戻る.