河東泰之の2004年度研究概要

Longo とともに,作用素環の局所共形ネットのエントロピーを研究した. それは「熱核半群」のトレースの対数をとったものの展開係数として 定義される.この量は,多様体のラプラシアンの固有値の分布を調べることの 類似として,「無限自由度の非可換多様体」の幾何学的不変量と解釈できる. 自然なモジュラー性の仮定の下で,「非可換面積」に当たる主要項が central charge に比例すること,非可換オイラー数に当たる次項がネットの大域指数 の対数に比例することがわかった.ブラックホールのエントロピーとの関係に ついても研究した.

また枠付き頂点作用素代数の構成法の類似を,Longo と共に作用素環の 局所共形ネットに対して行った.例として,ムーンシャイン頂点作用素 代数に対応する作用素環の局所共形ネットを得た.

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