静岡大学における集中講義

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単位は(出席の記録)and (講義のノートをまとめたもの or 講義中に述べた演習問題についてあるいは講義に関係すると思われる事柄についてのレポート) によって認定します.

曲面のあらわし方

 
 

例 球面 トーラス
 
 


 
 














輪郭としてのカスプ plaques, mesh, 輪 郭
 

グラフ表示

陰関数表示

パラメータ表示
 
 


 
 













等高線と最大傾斜線

cos x cos y のグラフ



 

黄色は、[0,2π]×[0,2π]

赤色は等高線

青色は最大傾斜線



 

一 般に、等高線と最大傾斜線は直交している。









モース関数の定義
 
 

モースの補題
 
 

この最大傾斜線で、
曲線が1点に集まるところ
双曲線のようになるところ
注目する。
 
 

      
 

等高線では、それぞれ

      
 

それぞれ、極大点、極小点
鞍点(峠点)に対応する。















オ イラー数は国民の常識
 
 

各3角形の上に
次の模様(フローライン)を考える。
 
 
 
 


 
 


四面体に模様をつけると



 













オイラーの多面体定理を仮定すると

頂点の数 ― 辺の数 + 面の数 = 2 ― 2g

から

極大極小点の数 ー 鞍点の数 = 2 ― 2g

このことは曲面上のモース関数のとり方によらない

逆に「極大極小点の数 ー 鞍点の数」が
「モース関数のとり方によらない」ことを直接示せれば、
「極大極小点の数 ー 鞍点の数」は
曲面によって定まる整数であることが分る.
このことから「頂点の数 ― 辺の数 + 面の数」は
三角形分割によらないことがわかる。
 

カ スプを通してモース関数をつなぐことができる
 
 

ト ムのジェット横断性定理
グ ロモフのホモトピー原理
 
 

曲面の分類

実際の最大傾斜線には
流れ落ちる方向が定まっている。

同じに対しても、
極大に対応するものと、
極小に対応するものがある。

このような最大傾斜線に
対応する模様を考えると、
最大値、最小値は存在するから、

の個数 ≧ 2
 


 サドルに対しては、
その上下に出る枝
左右に出る枝
一方の組が増加
一方の組が減少している。
 

この枝の一本によって、
サドルが極大点、極小点に
つながっているときに、
コブの解消(対消滅)が可能である。
 
 


最も簡単な曲面では
最大値最小値が1つずつある。

これは球面と同相になる。
同相となるとは、同じ「座標」を
とることができることである。
 


一般には、極大点が複数、
あるいは極小点が複数あれば、
その間にサドルがあり、
対消滅させることができる。
 
 
 

その結果、極大点極小点が
1つずつで
最大点最小点となっている
ようにできる。



一般の曲面に対しても

オイラー数          
= の個数 ‐ の個数 
≦ 2                 である。

\


サドルがあるときに
最小点、最大点、サドルを結ぶ
曲がった3角形

はサドルの数を k
とすると 4k 個ある。
(k =2-オイラー数)


これらは、最小点、あるいは最大点の
まわりでは
2 k 角形をなす。


 


 

この 2 k 角形の辺を元のように
縫いあわせると曲面が復元される。

その様子は、辺を縫い合わせたときに
頂点がひとつの点になる
というものである。

こうして、曲面の同相による分類が得られる。


オイラー数が 1 の時には、
向き付けを持たない曲面
「射影平面」が得られる。

    3次元の空間にある図形の表面としての
曲面には裏表があるから、
向き付けを持つ曲面である。
 

オイラー数が0の時は、
向き付けを持つ「トーラス」
または、向き付けを持たない「クラインの壷」
となる。
 

演習問題:オイラー数が0の時、
向き付けをもてば、
「トーラス」と同相になることを確かめよ。


曲面には向きづけられる場合
(3次元空間にあれば裏表が指定できる場合)とそうでない場合がある.

2n角形の辺を張り合わせる時、
2n角形の境界としての向きを
すべて反対に同一視するとき向きづけを持ち、
境界としての向きを同じに同一視する辺の組が
一つでもあれば向きづけを持たない。

向きづけを持たない閉曲面のオイラー数は
1, 0, -1, -2, …
向きづけを持つ閉曲面のオイラー数は
2, 0, -2, -4, …
となるのはなぜか?
 


必ずしも極大点極小点が1個ずつとは限らない場合に話を戻す.

極小点から出る最大傾斜線たちは多角形になることを見た.

これらの多角形が、稜線にあたる鞍点と極大点を結ぶ軌道
に沿って貼り合わさって曲面が得られている.
この貼り合わせの様子を記述する。

そのために、多角形の集合、稜線の集合、頂点(極大点)の集合
を考える.

稜線には、(便宜上)向きをつけておく。

1つの稜線 e_1 は、頂点 v_1 頂点v_0へ向かうというように記述される.

多角形の辺は、多角形に向きをつけておくと、
稜線 e_1 稜線 e_2 … 稜線 e_k
に囲まれていると記述される.

ただし、稜線に向きを決めているから、
同じ向き、反対向きの記述もすべきである.

これらの情報を集めておけば、その情報から曲面が復元される.



情報は少なくなるがその様子を
行列で表す.

頂点の数をL, 辺の数をM, 多角形の数をNとする。
A          B
R^L ← R^M ← R^N

行列は、列ベクトルに作用していると考える.
ここで合成した行列 AB は、零行列となる。

ホモロジー群が定義される.

しかし、行列は転置行列として、行ベクトルにも作用できる.

合成した行列は、零行列となる。

コホモロジー群が定義される.

A          B
R^L → R^M → R^N


さて、天地がひっくり返る大事件が起きたとする.

極大は極小に、極小は極大にかわる。

多角形のとり方はかわる。
「稜線」は直交方向に変化する.

頂点の数はN, 辺の数はM, 多角形の数はLとする。

R^N ← R^M ← R^L

ここでホモロジー群を考える。

曲面が向きづけ可能のとき、
このホモロジーの計算の行列は、
上に現れたコホモロジーの計算の行列と一致することがわかる。 
 

A          B
R^L → R^M → R^N

このことから、H_0(R^N ← R^M ← R^L) と H^2(R^L → R^M → R^N),
H_1(R^N ← R^M ← R^L) と H^1(R^L → R^M → R^N),
H_2(R^N ← R^M ← R^L) と H^0(R^L → R^M → R^N),
は同型となる.
これをポアンカレ双対性定理という。


さて、準同型定理から
オイラー数 = L - M + N =dim H_0 - dim H_1 + dim H_2
がわかる。
ホモロジー群とコホモロジー群の元の間には、
非退化な積があり、
H_0 と H^0 、 H_1 と H^1 、H_2 と H^2
は同形である。
これは普遍係数定理と呼ばれる.

そこで、ポアンカレ双対性を用いて、
H_1 × H_1 → R
交叉形式が定義される.
この交叉形式は、反対称、非退化である.
このような反対称非退化な双1次形式が存在するのは
偶数次元のベクトル空間である。
従って、dim H_1は偶数となる.



一方ホモロジー群は、モース関数の取り方によらない.

このことを示すためには、
カスプを通過したときの多角形の変化、
鞍点を結ぶ軌道があるモース関数を通過したときの多角形の変化
を追跡すればよい.



とくに、極大点が1点だけのモース関数を考えると、
H_0 = R がわかる。
極大極小点が1点ずつの場合の、向きづけ可能なときの
多角形の辺の同一視の仕方から、H_2 = R がわかる。

従って、向きづけ可能なとき dim H_1が偶数であることから、
オイラー数が偶数となる。



 

さて、オイラー数が0のとき、
模様だけをながめて、
これが最大傾斜線であることを
忘れると、
最大点、最小点だったものと
サドルを消滅させることが
できる。
その結果、曲面の上の停留しない
流れが定義される。
 


 

こ れとは違う流れ



 

結論

曲面のオイラー数は、
曲面の上の関数の様子にも
大きな影響を与えている。
とくに、極大点、極小点、サドルだけを
もつ関数に対しては
少なくとも、(2 - オイラー数)の
サドルがある

また、オイラー数は、曲面の上の流れ
(常微分方程式の解)の挙動に
大きな影響を与えている。
とくに、オイラー数が0でないときには
必ず停留点がある。

このオイラー数は、
次元の高い空間にも定義される。
オイラー数は考えている空間の
大域的な性質を表現し、
その上の関数、流れ等に大きな影響を
与えている。