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10月13日
0. ガイダンス
* 諸外国における同年代を意識せよ。
* 「わからない」ということに正面から向き合う。わからないことを鵜呑みにして「記憶」してしまうと思考が止まってしまう。「なぜ」を突き詰めて、わからないことを自分の中で大事に育てるということ。
* この数学IIでは、公式等の知識ではなく、将来に役に立つための思考力と吸収力を鍛えることを重視する。
* (経済学等で使われている)数学をブラックボックスとして鵜呑みにせずに、芯から理解するための知力を鍛える。
* 少ない概念で難しい問題を解く(小中高での数学) ⇒ 新しい概念を理解して、論証を積み上げ、芯となるものを理解する(大学の数学)
* この講義を通じて数学を好きになってほしい。
1. 行列の定義 と演算
行列の表記法 (大きなサイズの行列にも適用できる抽象的な記法と視覚的な理解)
行列の積の定義
和の表記法
[ 演習問題 と 解答 ]
- 10月20日
行列の積の3通りの理解法
抽象的な公式による理解、図による理解、例による理解
行列の積を用いることによって既知の問題の理解を深める2例
例1.連立方程式の行列表示
ポイント:パラメータを動かした時の解の存在・非存在を系統的に理解する
例2.数列を表す漸化式の行列表示
フィボナッチ数列の極限を行列の冪乗の問題として捉える
(この議論では、後述する行列の結合法則が必要になる)
二重数列と二重和
二重和の可換性の理由
ダミーの文字(動く添え字)と、固定した添え字の区別を明確に。
行列の積の結合法則とその論証
[ 演習問題 と 解答 ]
- 10月27日
鶴亀算、連立一次方程式、手法と到達目標
連立一次方程式の行列表示
係数行列と拡大係数行列
解を不変にする式変形 → 行に関する基本変形
[ 演習問題 と 解答 ]
(11月3日 休日)
- 11月10日
行基本変形に関する標準形
定理 4.1 行基本変形に関する標準形
定義 4.2 行列の階数
[ 演習問題 と 解答 ]
- 11月17日
定理5.1 連立一次方程式の解の存在、自由度と拡大行列の階数
定理5.1 の証明
連立一次方程式の解の表し方
[ 演習問題 と 解答 ]
(11月24日 駒場祭後片づけによる授業休止日)
- 12月1日
連立一次方程式の解の存在、一意性の必要十分条件の証明)
(係数行列と拡大係数行列の言葉で書く)
解のない連立一次方程式の条件を少し変えたとき、解は存在するか?
(なんとかなる? にっちもさっちもいかない?)
掛け算と割り算
割り算=逆数 & 掛け算
行列の単位元と逆元(逆行列)
逆行列の一意性
[ 演習問題 と 解答 ]
- 12月8日 中間試験
[ 試験問題 と
解答と講評 ]
(講義レジュメ) 掃き出し法による逆行列の求め方
- 12月15日
2次元平面,3次元空間の内積
ピタゴラスの定理、余弦定理の3種類(幾何、ベクトル、座標)の記法とその高次元化
ベクトルの内積
2次元平面の座標で表した平行四辺形の面積の公式
3次元ベクトル空間の外積の定義
外積の性質
[ 演習問題 と 解答 ]
- 12月22日
3次元ベクトルの外積の意味
外積の性質
3次元空間のベクトルで表した平行六面体の体積の公式
平行六面体の体積と行列式
3次正則行列 A の逆行列の公式(外積を用いた表示)
[ 演習問題 と 解答 ]
- 1月12日
目標:行列式の一般公式を理解する
n 個の文字の置換の5種類による表記法とその対応関係
(置換、数の並び換え、写像、ひも、行列による表記(配置))
置換の積(写像による定義と、ひもによる計算法)
逆置換の定義とひも表示における意味
ひもの交点数による置換 σ の符号 sgn(σ) の定義
(well-defined であることの証明)
[ 演習問題 と 解答 ]
- 1月19日
行列式と逆行列
行列式の幾何的意味(復習)
線分の長さ、平行四辺形の面積、平行6面体の体積、...
行列式の代数的定義(先週と今週)
逆行列の求め方
行基本変形に基づく掃き出し法(既習)
外積を用いる方法(3次正方行列の場合)(既習)
余因子展開,Laplace の展開公式(今週)
ひも表示を用いた行列式の定義を3 次正方行列で理解する
余因子展開,Laplace の展開公式
余因子行列
行列とその余因子行列の積は?
逆行列の公式
特定のひもとそれ以外のひもの交点数(証明の鍵)
[ 演習問題 と 解答 ]
- 1月27日(木)
※今週は水曜日ではなく、木曜日に講義が行われますのでご注意ください。
定理 det (AB) = det(A) det (B)
鍵になるのは以下の補題("ひも"の議論ですぐに証明できる)
補題 sgn(στ) = sgn(σ) sgn(τ)
定理 n次の正方行列 A に関して以下の3条件は同値である
(1) A が逆行列をもつ
(2) det (A) が 0 でない
(3) rank A= n
(今日は (1)と(2)の同値性を証明した。
一方、第6回・7回の講義で(1)と(3)の同値性を学んでいるので、(1)(2)(3)が同値と
なる。
なお、復習を兼ねて、(2)と(3)の同値性の直接証明するアイディアも概説した。)
固有値、固有ベクトル
固有多項式
行列の対角化とその意義
[ 演習問題 と 解答 ]
- 2月2日(水) 期末試験
[ 試験問題 と
解答 ]