Complex geometry and representation theory
まとめ:
複素領域にルベーグ測度(またはルベーグ測度に重み関数を掛けたもの)を考える.その領域上の正則関数で,二乗可積分なもの全体の集合を
(weighted) Bergman space と呼ぶ.
講義では,Bergman spaceは$L^2$関数空間の閉部分空間になっており,特にHilbert空間の構造を持つこと,更にevaluation mapはこのHilbert空間としての位相に関して連続であることを示した.またBergman kernalを定義し,具体的にFock
spaceに対するBergman kernalを計算した.
まとめ:
複素領域上のある種の関数空間に再生核(weighted Bergman kernel)を考えると,
再生核を用いた積分によって,代入という操作を捉えることができる(reproducing
property).
講義では, Fock space, weighted Bergman spaceに対する再生核を具体的に計算し, 更にweighted Bergman spaceのある種の極限にあたるHardy spaceについても再生核を具体的に求めた.
まとめ:
一般にLie群 $G$ のHilbelt空間$\mathcal{H}$への連続表現$\pi$を微分することは出来ないが,ある稠密部分空間$\mathcal{H}^\infty$ (G\"{a}ding
space)が存在して,$\mathcal{H}^\infty$上では微分がwell-definedになる.
$G$上のコンパクト台を持つ連続関数$f$は,$f$を重みとして$\pi$を$G$上で積分する(Bochner integral)ことにより,$\mathcal{H}$上の線型空間としての準同型を引き起こすが,講義では,このBochner integralを用いてG\"{a}ding space $\mathcal{H}^\infty$ を構成した.
まとめ:
複素領域$D$上の双正則変換$\varphi$は,
正則関数全体の成す空間$\mathcal{O}(D)$上の同型を引き起こすが、一般には
Weighted Bergman spaceを保つとは限らない.
しかし, weightに関するある条件を満たす$D$上の正則関数$a$が存在する場合には,$a$で捻ることによって,$\varphi$からweighted Bergman space上のunitary変換を構成することができる. 特に
Lie群$G$が$D$に双正則に作用している場合には, $G \times D$上の関数$a$で,各$g \in G$に対して$a(g,\ )$が上のweightに関する条件を満たしており,なおかつcocycle条件と呼ばれる性質を持つものが存在すれば, $G$のweighted Bergman spaceへのunitary表現が構成できる.
講義では, 複素単位円盤$D$上のweighted Bergman space $\mathcal{H}_\alpha$に対して,$\alpha 2,3,\dots$の場合に,$G=SU(1,1) \simeq SL(2,\mathbb{R})$の$D$への自然な双正則作用から$a$を具体的に作ることによって,$G$の$\mathcal{H}_\alpha$上のユニタリ表現(holomorphic discrete series representations)を構成した.
まとめ:
前回の講義で, 複素単位円盤$D$上のweighted Bergman space $\mathcal{H}_\alpha \ (\alpha=2,3, \dots)$に対して, $G = SU(1,1) \simeq SL(2,\mathbb{R})$のユニタリ表現$\pi_\alpha$を構成したが,今回の講義では,$SU(1,1)$の極大コンパクト部分群の作用と,$SU(1,1)$の具体的な元の微分作用の考察を組み合わせることによって,$\pi_\alpha$が既約であることの証明を行った.
また$D$の境界として$S^1$を考え,$C^\infty(S^1)$上の$SU(1,1)$の表現$\varpi_\alpha \ (\alpha \in \mathbb{C})$を定義し,$\alpha$が偶数の場合に$\pi_\alpha$から$\varpi_\alpha$への絡作用素を構成した.
まとめ:$C^\infty(S^1)$上の$SU(1,1)$の表現$\varpi_\alpha \ (\alpha \in \mathbb{C})$を principal series representation と呼ぶ. 講義では,各$\alpha \in \mathbb{C}$に対して principal series の組成列 を決定した. その方法は,まず極大コンパクト部分群の作用を見ることによって$C^\infty(S^1)$を単項式の空間に分解して考え, さらに微分表現の複素化によって$\mathfrak{sl}(2,\mathbb{C})$の表現を考 えたときに, その単項式の空間達がどのように関係するかを調べるというものである.
© Toshiyuki Kobayashi