On the Branching Laws of Infinite Dimensional Representations,
(5 lectures), the University of Tokyo, Japan, 17-21 June 2002.

「無限次元表現の分岐則」
東京大学数理科学研究科,集中講義

G の表現を部分群 H に制限すると,H の表現が得られるが,それは一般には既約でない.部分群に制限した表現が,どのように既約分解するかを調べることを分岐則の問題という.

ユニタリ表現の分岐則の特別な場合は次のような問題と(ほぼ)同等になる:古典的な Clebsh-Gordan 係数の決定,テンソル積の分解,指標公式,Blattner 予想,等質空間上の調和解析における Plancherel 型定理,保型形式における Howe 対応,量子力学における対称性の破れの記述,… また,最近では,不連続群の研究にもユニタリ表現の制限の理論が用いられている(Margulis, Oh, Witte など).

このように,表現の部分群 H への制限は,種々の場面で自然に現れる.

しかし,H がコンパクトでない場合に,無限次元表現の分岐則を具体的に求めることは,種々の解析的困難を伴うこともあり,多くのことが未知である.

さて,GL(n,R), SO(p,q), Sp(n,R) などの古典型リー群は「簡約リー群」と呼ばれている.任意のリー群は簡約リー群の拡大を繰り返して得られるので,簡約リー群は最も基本的なクラスのリー群である.

そこで,この講義では,簡約リー群のユニタリ表現の分岐則について,特に,連続スペクトラムが現れない分岐則,すなわち,離散的分岐則に焦点を当て,その基礎的な理論について解説する.

講義では,リー群やリー環の定義は仮定するが,簡約リー群や無限次元表現論の知識はできるだけ仮定せずに話を進める.1週間で最先端の結果に多少なりとも到達するように,証明は基本的なアイディアや具体例での概略のみを話す予定である.

時間があれば,離散的分岐則の応用についてもふれたい.

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© Toshiyuki Kobayashi