第9回高木レクチャー招待講演
平成23年6月4日(土)
11:30--12:30,15:20--16:20
京都大学数理解析研究所 大講義室420号室


臨界非線形分散型方程式:
大域存在,散乱理論,解の爆発と普遍漸近形
Carlos E. Kenig
(University of Chicago)


Abstract

非線形波動・分散型方程式の分野ににおける最近の進展について、 特に、スケーリングに関し臨界となるような問題に対し、解の長時間漸近 挙動について解説する。問題としては、時間大域的な適切性、非線形散乱理論 および解の有限時間爆発などがある。この方向の研究として、C. Kenig and F. Merleが発展させた研究方法(集約コンパクト性や剛性定理)について解説 する。使われるアイディアは、多くの数学者によって、Yamabeの問題や調和写像 の問題を研究するために、非線形楕円型方程式で使われてきたものの自然な拡張 となっている。我々のアイディアは、正定値なエネルギー半函数をもつエネルギー 臨界な問題に関する先行結果にも立脚している。さらに最近、我々のプログラムが、 爆発時刻付近の解の“普遍漸近形”を決定する際に、基本的役割を果たすことも 分かってきた。これは、Duyckaerts、Kenig and Merleの一連の仕事によって なされた。我々の方法について、いくつかの具体例を通して概説したい。


References: C. E. Kenig, Critical nonlinear dispersive equations: global existence, scattering, blow-up and universal profiles,
Japanese Journal of Mathematics, Volume 6-2, (2011), pages 121--141.
[Article (Springer Link)]