リーマン幾何学における発展方程式
S. Brendle
Abstract:
リーマン幾何学における基本的な問題として,与えられた微分可能多様体の
標準的な計量を見つけよ,というものがある.1980年代に,この問題へ
のアプローチとして,ハミルトンは放物型の偏微分方程式を用いたアプローチ
を提唱した.与えられた計量を初期条件として出発し,発展方程式を用いて
標準的な計量へと変形していく,というのがゴールである.リーマン計量に
関しては,リッチ流や共形山辺流など自然な発展方程式がいろいろとある.
その大域的な挙動を議論する.特に,このような手法で,微分可能球面定理
の証明をどのように証明するかを解説する.