Japan. J. Math. 5, 73--102 (2010)

数論幾何における重さの概念

U. Jannsen

Abstract:
代数多様体のコホモロジーの重さの概念は,グロタンディエクとドリーニュによる基本的な着想と業績により創始された.これは,モチーフの概念と深く結び付き,初めは特異コホモロジーの(混合)ホッジ構造としての重さとして,そしてエタールコホモロジーへのフロベニウス固有値の重さとして現れた.重さは,そればかりでなく,代数的基本群や,フォンテーヌの比較関手を適用して初めてわかるものであるが,$p$進ホッジ理論にも現れる.重さのさまざまな現れ方を概観したのちに,最近の重さの応用,たとえば,ハッセ原理やモチヴィックコホモロジーの計算を紹介し,未解決問題についても論じる.


第7回高木レクチャー招待講演.