弦理論から見た幾何学
大栗博司
Abstract:
物理学者の視点から位相的弦理論についての入門的概観を与える.理論の定義か
ら入り,グロモフ・ウィッテン不変量との関係を説明する.キィレンのアノマ
リー公式を一般化する,BCOV正則アノマリー方程式を使うと,理論の分配関数の
種数の高い項を計算することができる.開・閉弦双対性は,閉位相的弦理論を
チャーン・サイモンズ・ゲージ理論や,ランダム行列模型に関係させることがで
きる.位相的弦理論の応用として,D-ブレインの束縛状態の数え上げ問題を議論
する.