Japan. J. Math. 12, 261--315 (2017)

アフィン頂点代数の極小W代数への共形埋め込み:分解

D. アダモヴィッチ,V.G. カッツ,P. メーゼネーダー フライリア,P. パピ,O. ペルシェ

Abstract:
極小単純アフィンW代数 $W_k({\mathfrak g}*,\theta)$ を,共形レベル $k$ における,すなわち $W_k({\mathfrak g}*,\theta)$ の ${\mathscr V}_k(g^\natural)$ のヴィラソロベクトルが等しいときに,その極大アフィン部分代数 ${\mathscr V}_k(g^\natural)$ に対するモジュールとしての明示的な分解を計算する方法を示す.特にアフィン・フュージョンルールの分岐則の決定への応用を強調する.${\mathfrak g}^\natural$ が半単純環である時はほとんどすべての場合について,適当な共形レベル $k$ について $W_k({\mathfrak g}*,\theta)$ は ${\mathscr V}_k(g^\natural)$ の単純モジュールによる拡大に同型なことを示す.ある場合には $W_k({\mathfrak g}*,\theta)$ は${\mathscr V}_k(g^\natural)$ の単純カレント拡大であること示すことができる.ある種の共形レベルにおいてより複雑な,非単純カレント拡大の場合を解析するため,$k=-8/3$ の場合の単純W代数 $W_k(sl(4),\theta)$ の明示的な実現を与える.[3]で予想されたように,$W_k(sl(4),\theta)$ は頂点代数 ${\mathscr R}^{3}$ に同型であることを証明し,スクリーン作用素を用いて無限個の特異ベクトルを構成する.さらに頂点代数 $V_k(sl(n))$ に対しある許容的なレベルで,また $V_k(sl(m|n))$, $m\neq n$, $m, n\ge1$ に対し任意のレベルで,単純カレントモジュールの新しい族を構成する.