連絡事項
全般的な注意事項
遅刻厳禁・私語厳禁です。
授業内容に関わる質問は授業中にお願いします。授業内容で理解できない点があれば、その場で手をあげて大きな声で質問してください。 板書の書き誤りに気が付いたら、その場ですぐに指摘してください。
大人数に対するレポート等の返却を、個人のプライバシーに配慮しつつ、混乱なく速やかに行うために、名前を呼ばれたら、大きく手を挙げて、大きな声で『はい』と返事してアピールしてください。 レポート等の名前には必ずふりがなを振ってください。
2013年4月24日 期末試験および追試験の答案で見られた誤謬について
直交行列で対角化せよという問題に対して、変換行列が直交行列になっていない答案が非常に多く見られました。直交行列であるためには、その行列の列ベクトルが互いに直交しているだけでは不十分で、正規直交基底をなしていなければなりません。すなわち、列ベクトルの大きさがすべて1になっていなければなりません。
直交行列による対角化を利用して二次形式を平方完成せよという問題に対して、別のやり方で平方完成して得られた式を答えている答案が多く見られました。 平方完成の結果は一通りではなく、やり方によって答が変わりますので、きちんと指示通りに平方完成しなければなりません。
行列からなる線型空間の線型変換について、その固有空間の基底を求めよという問題においては、求める基底は行列の組でなければなりません。 行列を記入するように解答欄を作っておいたのですが、無視して無理やり列ベクトルを答えている答案が見られました。
多項式からなる線型空間の線型変換について、その固有値と固有ベクトルを求めよという問題においては、求める固有ベクトルは多項式でなければなりません。 記入すべき答がいかにも列ベクトルではないような雰囲気をかもしだす解答欄を作っておいたのですが、無視して無理やり列ベクトルを記入している答案が見られました。
科目概要(6月5日追記, 6月18日微修正)
この授業は、理科 I 類20組〜22組を対象とする線型代数学の講義です。
この講義は月曜3限に531教室で行います。
この講義は、理科 I 類用の数学 II のシラバス (下に転載) に基づいて行います。
この講義の教科書として次の書籍を指定します。
足助太郎「線型代数学」東京大学出版会この3月に出版されたばかりの新しい書籍ですので、まだ定評はありません。 書籍の内容の訂正・補足などが次のページにあります。
「線型代数学」(東京大学出版会, 足助太郎著)に関する補足事項
この講義の成績は期末試験によって判定します。講義のなかで行う小テストやレポートなどは純粋に教育目的で行うものですので、成績には影響しません。
この講義に対応する演習の授業は鹿島洋平先生の担当です。 この講義に対応する演習の成績は、講義の成績とは独立に担当教員がつけます。 演習で行う小テストやレポートなどは演習の成績に影響することがありますので注意してください。
講義予定(冬学期)
講義の進行によっては、予定を変更する可能性があります。
なお、この講義の演習の日程は
10月22日,11月5日,11月19日,12月3日,12月17日,1月21日 |
シラバス
理科 I 類向けの数学 II のシラバスを転載しますので、参照してください。
数学 II シラバス(理科 I 類)
理科 I 類に対する数学 II の講義内容は概略以下の通りであるが,実際の進行や順序は担当教員によって異なることがある.
夏学期では1〜3を学び,行列やベクトルに関わる計算技術の修得に主眼を置いている.後半で学ぶ一般論を理解するためには,行列の階数の概念をしっかり把握しておくことが鍵となる.冬学期で学ぶ 4〜6では,ベクトル空間,一次独立性,次元,固有値と固有ベクトルなどといった抽象度の高い考え方を習得するとともに,行列に関する実際の計算への応用も考える.一次独立性の意味の正確な理解と,問題をベクトル空間という枠組みの中で眺める思考方法に慣れることとが,ポイントとなる.
5月 9日
訂正: 練習問題2.3の条件(B)の後半の式を f(au)=af(u) に直してください。
6月 5日
昨日の授業終了後に、学生との会話のなかで「教科書が分かりにくい」という意見を聞きました。考えながら文章を読まなければならない点で苦労を強いられるとは思いますが、それは内容を丁寧に説明してあるからなので、分かりにくいというのは当たらないでしょう。しかしながら、もし学生から見て分かりにくい箇所があれば、その箇所を具体的に指摘してください。
昨日の授業で紹介した固有値と固有ベクトルに関する内容は、ほんのさわりの部分だけです。詳しいことは冬学期に取り扱います。
6月 5日
成績と演習に関する記述を科目概要に追加しました。
来週の講義では行列式を扱いますので、教科書の第 2 章の 2.1 と 2.2 を予習しておくと良いでしょう。
6月 8日
先日の講義で3次元空間内の平面に関する対称移動について触れましたが、これは鏡映とも呼ばれます。平面上の直線に関する対称移動も鏡映と呼ばれます。 英語では reflection と言います。
ちなみに、回転(または回転移動)は rotation,平行移動は translation と言います。
6月11日
名前に振り仮名を振っていない人は、返却の際には後回しになりますので、あしからず。
小テストの結果ですが、20点満点の人が47名いました。良くできました。
6月17日
繰り返しますが、授業内容に関する質問は授業中にしてください。授業終了後に学生が話をしに来た場合、授業内容に関する質問かどうかは聞いてみないと分からないので話は聞きます。しかし、だからといって授業終了後に授業内容に関する質問をしても良いということではありません。
授業終了間際のために質問をする時間がなかった場合は、次の週の授業の始めに質問してください。
7月 9日
今学期の授業はすべて終了しました。
振り返ってみると、数学IIを担当するのが久しぶりだということもありますが、全般的に手際が悪く、同じことを何度も述べるなど、無駄に時間が掛かってしまった部分が多々あったと反省しています。たびたび授業が延びてしまった点については、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。
試験範囲は授業で扱った内容です。用語などは指定した教科書に準拠して出題します。具体的な出題内容を事前に公表することはしません。(かつて公表したこともあったのですが、結果的に成績が悪くなる傾向が見られるので、やめました。)
成績の良し悪しは、皆さんの努力に掛かっています。夏休みの間にしっかり勉強して9月の期末試験に臨んでください。健闘を祈ります。
9月 4日 期末試験お疲れ様でした。
計算問題の正解を書いておきます。問題1 (1) , (2) と問題2(1) は良くできていましたが、問題2 (2) は不正解の答案が比較的多く見られました。
問題1 (1) 下の通り (2) 8 問題2 (1) 3 (2) 2b-3c+d=0
1 | -1/2 | 0 | 0 | ||||
-1/2 | 1 | -1/2 | 0 | ||||
0 | -1/2 | 1 | -1/2 | ||||
0 | 0 | -1 | 1 |
問題3では、正方行列 A の階数が 1 であると仮定したとき
「A の各行は第 1 行のスカラー倍となっている」
とするのは誤りです。
例えば、第 1 行が (0 0) で第 2 行が (0 1) であるような 2 × 2 行列を A とすると、これは階数が 1 ですが、第 2 行は第 1 行のスカラー倍ではありません。
また、問題3では問題文に「行列の階数は行基本変形によって定義するものとする」と明記されているので、これと異なる定義に基づいて示した答案は残念ながら不正解です。
9月 9日
記述式答案で「任意の」という言葉の使い方を誤っているものが見られました。
主張や操作などを述べる際に、文字λの表すものが如何なる実数であっても良いとき「任意の実数λに対して・・・となる。」とか「・・・である。ただしλは任意の実数である。」などと書くことがありますが、その主張や操作などを実際に適用する際には、文字λに特別な値を設定して適用することになるので、もはや「任意の実数」とは言えません。(9月10日修正)
記述式答案で「おく」という言葉の使い方を誤っている答案が見られました。
数学の文章では、動詞「おく」は「○を□とおく」「□=○とおく」のように用いられますが「□をおく」という言い方はありません。
9月10日
昨日の「任意の」の使い方についての説明を続けます。
例えば、ベクトル v, w に関する一般的な説明として「v=λw が成立するとき、v は w の実数倍であると言う。ただし λ は任意の実数である。」と書いたとします。文字λの表すものが如何なる実数であったとしても、v=λw が成立しさえすれば v は w の実数倍なのですから、これは意味の通る文章と言えます。(ただし、下の注意も参照してください。)
しかし、文章中で既に特定されているベクトル v, w について、v が w の実数倍になっているからといって「v = λw が成立する。ただし λ は任意の実数である。」と書くのはおかしいのです。何故なら、v と w が特定のベクトルであるので、 (v と w がともに零ベクトルである場合を除き)関係式 v = λw は特定の実数λについてしか成立しないからです。
この場合には、簡潔に「v = λw が成立する。ただし λ は実数である。」とするか、より正確には「ある実数 λ が存在して v = λw となる。」「ある実数 λ であって v = λw となるものが存在する。」などと書くべきです。
注意: 上で最初に挙げた文章についても、論理的には「ある実数λが存在して v=λw となるとき、v は w の実数倍であると言う。」とするのが正確です。
問題4では、行列 A に行基本変形を適用するのがポイントですが、それをしていない答案は残念ながら不正解です。また、その操作を具体的に説明していない答案は不十分です。
ガウスの消去法による階段化のアルゴリズムにおいては、行基本変形 (L1) を用いるたびに q の値は減少していきますが、どんな行列にどんな行基本変形を施しても q の値が減少するという訳ではなく、変化しないことも増加することもあります。従って、行基本変形の仕方を具体的に述べずに「行基本変形により q の値が減少する」とするのは誤りです。
9月15日
問題2 (1) では、狭義の階段行列に変形して階数を求めている答案が見られましたが、階数の計算には広義の階段行列への変形で十分であり、狭義の階段行列に変形するよりも少ない計算量で階数が求まります。 また、問 (2) では、拡大係数行列を行基本変形によって広義の階段行列に変形して条件を読み取れば良いので、はじめから拡大係数行列を考えて、それを行基本変形によって広義の階段行列に変形する計算をすれば、問 (1) (2) に同時に手早く答えることが出来ます。
問題3では、行列 vw の階数が 1 以下であることの証明を詳しく述べている答案が見られましたが、この問題の解答にはまったくつながらないことですので、時間と労力を費やして詳しく述べても残念ながら点数にはなりません。
なお v または w が零ベクトルであれば行列 vw の階数は 0 になりますから、A=vw の形に書ける行列 A の階数が 1 であるとは限りません。
説明不足として減点した部分を除けば、ほぼ満点の答案がありました。 たいへん良く出来ました。
残念ながら不合格となった者は、追試験を受験することになります。追試験の問題は、本試験(=今回の期末試験)の問題よりも少し難しい程度の設定で出題する予定です。合格基準は本試験と同じです。本試験と同じ問題は出題しません。今度こそは合格点を取れるよう、しっかり勉強して、追試験に臨んでください。
9月21日
訂正: 追試験は 10月23日(火)10:55 開始予定です。
詳しくは、前期課程のページにある 追試験時間割 を見てください。
(9月22日訂正加筆)
期末試験の答案で、行列の両側の括弧の形状を中括弧 { }にしているものが見られましたが、行列をそのように表記するのは見たことがありません。行列の両側の括弧の形状は、小括弧 ( ) または大括弧 [ ] を使います。特段の理由のある場合を除き、お互いの意思疎通のため、世間で通用している記号がある場合には変更せずに使いましょう。
題意という言葉を答案に用いているものが見られましたが、正しい用い方とは思えませんでした。題意とは「出題の意図」あるいは「問題の意味」のことなので、「題意は示された」と書くと「出題の意図は示された」「問題の意味は示された」などとなり、「題意の式」と書くと「出題の意図の式」「問題の意味の式」などとなって、いずれもおかしな表現です。出題者や採点者が講評で「題意」に言及することはあり得ますが、試験を受けている学生が答案の中で「題意」という言葉を用いて意味が通る表現になることは、まず考えられません。 (10月3日加筆)
9月22日
訂正: 追試験は 10月23日(火)10:55 開始予定です。
詳しくは、前期課程のページにある 追試験時間割 を見てください。
昨日書いたように、行列の両側の括弧については小括弧 ( ) または大括弧 [ ] を使います。また、数列の両側の括弧については、中括弧 { } を用いるのが伝統的です。 これに対して、現代数学では、数学的対象の「組」については、次に述べるような規則に従って表記することがあります。
例えば、4つの数学的対象 a,b,c,d が与えられたとしましょう。 簡単のため、a,b,c,d は数であるとしますが、ベクトルでも行列でも関数でも構いません。 このとき、次の3つの書き方は区別されます。
しかしながら、この規則に従わずに、伝統的ないし古典的な記法で表記することもあります。すなわち、上記の規則によれば (2,1,3,2)と書くべきところを 2,1,3,2 と書いたり{2,1,3,2}と書いたりすることがあります。 この授業で指定した教科書では、このような立場に立って伝統的な記法で記述しています。 なかでも、数列の記法や、基底の記法などが典型的です。 これに対して、私の講義では、どちらかといえば現代的な記法を使用するつもりなので、教科書と比較するときは注意してください。
このように、数学の記号は、時と場合によって書き方が違うことがあります。また、数学以外の分野で数学の記号を用いる場合には、分野ごとに記号の使い方に違いがある場合もあります。 いずれにせよ、特段の理由のある場合を除き、お互いの意思疎通のため、その目的や意味合いに応じて、世間で通用している記号を使いましょう。
10月23日
追試験の講評
問題1(1) では第2行について余因子展開することを求めていますので、それ以外の行または列について余因子展開して計算した答案は不正解です。 また、第2行について余因子展開した答案であっても、符号を逆にして計算したものは不正解です。
問題1(2) では、ある行をスカラー倍したり、二つの行を入れ替えたりすると、行列式の値が一般には変化しますので、この点について考慮せずに計算した答案は不正解です。 ただし、行基本変形によって正則でないことを示したものについては、正しく議論されていれば正解です。
問題2の正解は複数ありますが、普通に行基本変形を実行して得られる条件は次のものです。
2a−3b+c = 0 , 5a−6b+d=0
問題4では、C=PQC だからと言って PQ が単位行列であるとは言えません。 同様に、B=QPB だからと言って QP が単位行列であるとは言えません。
問題5では、階数3の行列に対してA2≠0であることは容易に分かりますが、これに加えて、特別な形をした階数 2 の行列に対して A2≠0を示しただけでは不十分です。
11月12日
レポート課題を出しました。
本講義のレポートは純粋に受講生の学習の補助として行うもので、その点数や提出実績は成績に反映しません。
レポートの代理提出は受け付けません。
11月26日
小テストの成績優秀者の人数は次の通りです。
20点: 15名,15点: 3名
来週か再来週の授業で問題を配布する予定です。今学期は問題の配布が遅れて申し訳ありません。それまでは,鹿島先生の演習問題に取り組んで学習して下さい。
11月26日
レポートの採点添削が終わりましたので,来週の授業の前後に返却します。
評価が B 以上の者の人数は次の通りです。
A^+: 1名,A: 4名,B: 5名
始めから線型空間 V が数ベクトル空間 Knであるとして解答しているレポートが多数見られました。 この講義で扱っている線型空間は数ベクトル空間とは限りませんので,良く注意してください。
ほぼ同じ内容のレポートが相当数ありました。記述に特徴的な箇所が見られますので,友人のレポートを写したのではないかと思われます。この授業ではレポートの評価は成績には反映しませんから,代表で一名が提出して友人の間で内容を共有すれば十分だと思います。もちろん,自力で頑張って書き上げて提出するのが一番ですが,友人のレポートを写して出すくらいなら,お互いの労力の軽減のため,以後は連名で代表者一名が提出してください。
12月16日 証明への取り組み方について
与えられた仮定を形式的に変形することで都合よく結論が得られ,証明ができるとは限りません。結論を示すためには何を言えばよいのか,そのために仮定をどのように用いればよいのか,じっくり考えて取り組んでください。
その際には,既知の定理や補題をつなぎあわせるだけでなく,講義で実際に黒板でやって見せた証明や,教科書に載っている証明を参考にして取り組んでください。
1月15日 昨日の大雪により本日の講義に出席できない学生のため,以下の措置を講じます。
レポート再提出期限を1月21日(月)に延期します。
1月30日(水)2限に531教室で本日の講義分の補講を実施します。
本日の講義は平常どおり行います。
3月15日 冬学期追試験について
この講義の冬学期分の追試験は4月23日(火)10:55から実施されます。
講義進行(夏学期)