東京大学大学院数理科学研究科

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数理談話会

日時: 2018年1月26日(金) 15:30-16:30
会場: 数理科学研究科棟(駒場) 002号室

講演者

小池 祐太 氏 (東京大学大学院数理科学研究科)


講演題目

Wiener汎関数ベクトルの最大値のGauss型近似とその高頻度データ解析への応用 (JAPANESE)



講演概要

本報告では, Wiener汎関数からなる(高次元)ベクトルの最大値の分布とGauss型ベクトル の最大値の分布の間のKolmogorov距離を評価する問題を考える. 特に, 最近数理統計学 の分野におけるChernozhukov, Chetverikov & Katoによる一連の研究で発展した, 独立な高次元確率ベクトルの列の和の分布をそのGauss型の類似物の分布で近似する理論を, Wiener汎関数からなるベクトルへと拡張することを試みる. 本報告では, Chernozhukov, Chetverikov & Kato (2015, PTRF)の結果のWiener汎関数からなるベクトルへの一般化 が可能であることを示す. さらに, 特別な場合として, (同じ次数をもつ)多重Wiener-伊藤積分 のベクトルの最大値の分布とGauss型ベクトルの最大値の分布の間のKolmogorov距離が0に 近いことを示すには, 共分散行列の成分どうしが近く, かつ前者の各成分の4次キュムラントの 最大値が0に近いことを示せば十分であること, すなわち(広い意味での)fourth moment phenomenonが起きることを示す. 最後に, 高頻度データ解析への応用例を与え、理論の 拡張可能性について概観する.