二木昭人 氏 (東京大学大学院数理科学研究科)
『 複素微分幾何に現れる積分不変量について 』

内容:
コンパクト複素多様体のもっともなじみ深い不変量は Chern 類であろう.この講演ではその secondary classes にあたる正則ベクトル場を含んだ積分不変量の族で,次のような3つを含むものについて紹介する.
(1) 各 k に対し,k 次 Chern 形式が調和形式であるようなケーラー計量が存在するための障害となる不変量.
(2) 非ケーラー多様体でも定義される不変量で,横断的正則葉層構造の特性類やLefchetz 数などから自然に得られる不変量.
(3) 代数多様体に対し,漸近的 Chow 半安定性の障害となる不変量.
これらの3つの族の共通部分にケーラー・アインシュタイン計量が存在するための障害がある.