齊藤宣一 氏 (東京大学大学院数理科学研究科)
『 Keller-Segel系に対する保存的上流有限要素法』

内容:
非線形放物型偏微分方程式系に対して、有限要素法による数値解法を考え、スキーム構成の勘所と誤差解析の最近の動向についてお話したい。具体的な例としては、細胞性粘菌の凝集現象を記述するモデルとして広く知られるKeller-Segel(KS)系とその保存的上流有限要素法を取り上げる。このスキームは、KS系の解の基本性質である正値性保存と質量保存を厳密に再現し、解が凝集による集中化を起こしても安定に計算が遂行できる。さらに、離散 $L^p$ 空間における離散的解析半群の理論を応用して、陽的な誤差評価が導出される。