講演要旨 儀我 美一 氏(東京大学大学院数理科学研究科)

内容:
 コリオリ力を考慮したナヴィエ・ストークス方程式は回転している物体内の非圧縮粘性流体の運動を記述する方程式をとして、しばしば用いられる地球流体力学の基本方程式と一つである。
 この方程式の初期値問題を考える場合コリオリ力が強く、回転効果が大きいと流れが2次元的になり時間大域的に滑らかな解の存在をしめせる傾向にある。
 しかし、従来はこれらの問題は初期速度が周期的な場合に限られていた。例えば、概周期的の場合には取り扱えなかった。そこでとりあえず概周期的関数を含むような関数空間で、回転の大きさによらない一定の時間空間までの時間局所解を構成した。
コリオリ力がない通常のナヴィエ・ストークス方程式の初期速度が空間無限遠で減衰しない場合の解の存在問題はそうでない場合に比べて難しい。未解決問題も多い。それらについてもふれたい。