講演要旨 三村 昌泰 氏(明治大学理工学部)

 この半世紀の間、我々は一つのパラダイムエを経験した。それは平衡系の熱力学から非平衡系の熱力学に描像へという自然観の大きな転換である。そこには、物質やエネルギーの流れを伴う「開放系」という概念が確立した。開放系の基本は非線形性であることから、非線形数学の重要性が数学の世界において再認識されたのである。
 1980年代から、非線形開放系の解明に向けて数学からの接近が始まったのである。特に、非線形偏微分方程式の一つのクラスである反応拡散系理論は、これまで非線形開放系の解明に対して数理の視点から多くの貢献がなされてきた。ここではそれに関連した最近の仕事を紹介したい。