応用数理紹介

 当研究科は、数学を中心にその周辺を数理科学としてとらえ、それを一つの総体として研究することを目指している. 代数学・幾何学・解析学が数学の三つの柱であるとすると、それらを取り巻く広大な数理分野を対象としているのが数理科学である.応用数理グループでは、この趣旨に沿って、種々の現象に対する数学モデル、および数学モデルの数学的性質を対象にして研究活動を活発に行なっている.単に既成の数学を応用するだけではなく、実際の現象に対する数学的モデルを作り、新しい数学の理論を構築していくことも重要な目的である.その具体的研究内容は多岐にわたるため、ここですべてを網羅することは不可能であるが、現在のスタッフが取り組んでいる研究を4つの分野に大別して紹介しておく.

1)現象に関わる数理:さまざまな自然現象や社会現象の数理モデル化とその解析を行なっている.代表的なテーマは非線形現象の数理・非線形力学・非線形波動論・計算力学の数理である.

2)構造に関わる数理:数理現象に内在する代数的、幾何的、および解析的構造の究明を行なっている.代表的なテーマ は数値解析・場の理論・弦理論・可積分系・統計力学・ソリトン理論・パンルヴェ方程式・ナヴィエ・ストークス方程式である.

3)確率統計に関わる数理:ランダムな現象を研究する確率と統計に関する数理を扱っている.極限定理・漸近展開・確率解析学・セミマルチ ンゲール理論・マリアバン解析・レビ過程・理論統計学・漸近決定理論・確率過程の統計理論・統計的学習理論・計量ファイナンス・確率数値解析・生物統計などが現在のテーマである.

4)コンピュータに関わる数理:計算機科学、特にプログラミング言語の数学的基礎づけや、数学基礎論、特に証明論が中心的なテーマである.
(文責 吉田朋広)
(更新日:2023年4月13日)