数理人口学・数理生物学セミナー

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2009年05月14日(木)

16:00-17:30   数理科学研究科棟(駒場) 123号室
岩見真吾 氏 (静岡大学創造科学技術大学院)
AIDSワクチン開発への理論的介入-SHIV感染実験と数理モデル-
[ 講演概要 ]
慢性感染症であるという特性を有するHIV感染症の拡大を阻止するためには、予防・治療AIDSワクチンの開発が不可欠である。しかし、1998年にヒトでは初めての国際的な臨床試験が始まったバックスジェン社のAIDSワクチンは、2003年に失敗だと発表された。また、2004年メルク社の最も有望だったワクチン候補も大規模な臨床試験にまで進んだが、効果がないどころか悪影響がある可能性が判明し、2007年に打ち切られた。HIV単離からすでに25年たった今でも、まだ効果的なワクチンは開発されていない。このように、HIVに対して従来のワクチン製造法では有効なワクチンを作れなかったとなれば、何かこれまでとは違う革新的な治療戦略が必要である。そこで、本研究では、HIVとその体内での振る舞いに関する基本的な疑問と取り組み、HIVを無力化する新しい方法を見つけ出すこと目指す。まず身体に備わった免疫応答が通常どのように機能するのかを知るために、HIVとよく似たSHIVの感染実験と数理モデルを用いて、SHIVの性状、病原性、免疫反応性を明らかにする。今回のセミナーでは、培養細胞での実験データから推定可能であるウイルスの増殖率と感染力によって特徴づけられるSHIVの病原性評価理論を紹介する。