談話会・数理科学講演会

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担当者 阿部紀行、岩木耕平、河澄響矢(委員長)、小池祐太
セミナーURL https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/seminar/colloquium/index.html

2016年11月25日(金)

15:30-16:30   数理科学研究科棟(駒場) 056号室
米田 剛 氏 (東京大学大学院数理科学研究科)
軸対称Euler方程式によるplusatile flowの不安定化現象の純粋数学的洞察
[ 講演概要 ]
血管がある程度太いときの血流の研究においては非圧縮Navier-Stokes方程式がよく使われる。その際、Womersley
numberというものが重要となる。Wormesley numberは、血流の圧力勾配の時間変化に対する振動数、粘性係数、血管の半径によって定義される。Trip, Kuik, Westerweel, Poelma (2012)らは、そのようなpipe flowにおける乱流遷移とそのWomersley numberとの関係を詳細な実験によって調べている。その結論として「Wormesley numberは、そのような乱流遷移を表す指標には適さないのではないか」と示唆している。しかしながら、彼らの実験論文からは、旋回流+層流といった3次元流構造を深く洞察しているようには見受けられない。それを踏まえた上で、本講演では、そのような乱流遷移の純粋数学的洞察を試みる(そのような着眼点による純粋数学研究は、本研究が初である)。より具体的には「流れ場が旋回流+層流で、しかも急激に流入-流出が増加している非圧縮Euler流において、その層流形状は不安定的である」といった定理を示す。ここでの不安定化は境界層には由来しないので、非粘性流による洞察は或る程度正当化されよう。なお、ここで言う「流入-流出の急激な増加」がWomesley numberと(或る程度)対応している。定理の証明には、Frenet-Serret formulasやorthonormal moving frame といった幾何学的概念が本質的に使われる。
[ 参考URL ]
https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yoneda/index.html