複素解析幾何セミナー

過去の記録 ~03/28次回の予定今後の予定 03/29~

開催情報 月曜日 10:30~12:00 数理科学研究科棟(駒場) 128号室
担当者 平地 健吾, 高山 茂晴

2018年06月04日(月)

10:30-12:00   数理科学研究科棟(駒場) 128号室
野口潤次郎 氏 (東京大学)
Picardの大定理とManin-Mumford予想(Raynaudの定理) (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
Manin-Mumford予想とは,関数体上のMordell予想が解決された後の1960年代後半にManinとMumfordにより(独立に)提示されたもので1983年にM. Raynaudにより『代数体上定義されたアーベル多様体の代数的部分空間$X$内のトージョン点集合$X_{tor}$の$\mathbb{Z}$-閉包は部分群の平行移動の有限和である』という形で解決された.この結果は内容の深さからか多くの研究者の関心を呼び、その後,一般化や種々の別証明がM. Hindry ('88), E. Hrushovski ('96), Pila-Zannier ('08)等により与えられてきた.最後のPila-Zannierがここでの話に関係する.
本講演では,準アーベル多様体に対し拡張されたPicardの大定理(N. '81)を用いて上記Manin-Mumford予想(Raynaudの定理)を準アーベル多様体の場合に証明する.
Nevanlinna理論とDiophantus幾何については,これまで類似の観点からの議論・成果が多くあったが,今回の結果は証明レベルでの直接的な関係で,この様な関係を講演者は永く求めてきた(missing link).その意味で今般の知見は新しいもものであると思う.両理論の間をモデル理論の"o-minimal sets 理論''が取り持つ点も興味深いところと思う.