東京確率論セミナー

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開催情報 月曜日 16:00~17:30 数理科学研究科棟(駒場) 126号室
担当者 佐々田 槙子, 久保田 直樹 (日本大学), 阿部 圭宏 (学習院大学)

2018年07月02日(月)

16:00-17:30   数理科学研究科棟(駒場) 126号室
世良 透 氏 (京都大学大学院理学研究科)
間欠力学系に関する種々の分布極限定理 (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
間欠力学系とは,中立不動点を持つ一次元写像力学系のことである.この力学系は様々な非平衡系に現れる間欠現象のモデルとして,統計物理学などの観点から広く研究されてきた.間欠現象とは,ほぼ周期的かつ持続的な「安定状態」が,非周期的かつ一時的に生ずる「不安定状態」によって繰り返し中断される,という現象を指す.Lorenz(1963)は熱対流の微分方程式モデルを研究し,解軌道の数値プロットから間欠力学系を抽出した.Pomeau--Manneville(1980)は「熱対流の安定状態」を「間欠力学系の中立不動点」と見なして,間欠力学系を介してLorenzの熱対流モデルが持つ間欠性を考察している.

また,間欠力学系は無限エルゴード理論などの観点からも研究され,Markov過程論のアナロジーから種々の分布極限定理が得られてきた.本講演では間欠力学系に関する分布極限定理として,中立不動点から離れた場所(不安定状態)への滞在に関するAaronson(1981)&(1986),Owada--Samorodnitsky(2015)の結果,および中立不動点近傍(安定状態)への滞在に関するThaler(2002),S.--Yano(2017+)の結果を紹介する.そしてこれらを統合・精密化した講演者の最近の結果について述べる.間欠力学系の滞在時間のスケール極限として,マルチレイ上を走る歪みBessel拡散過程の原点局所時間や各レイごとの滞在時間が現れる.証明の鍵は周遊理論およびTyran-Kaminska(2010)による定常増分過程の関数型極限定理である.