平成25年度アクチュアリー・統計プログラム授業内容

科目番号 科目名 単位 学期 学年 担当教員氏名
0570031 数理統計学基礎 2 4 吉田 朋広

授業の目標・概要:数理統計学の入門講義.線形推測の理論と漸近理論の基礎について解説する.ここでは統計手法の根拠の一つとなる分布論的考察をする.

授業計画:

1.確率空間,確率変数,確率分布,期待値,特性関数と積率,多変量分布,多変量正規分布
2.一般化逆行列,射影行列,F分布,ガウス・マルコフモデル,仮説検定,重回帰分析,分散分析
3.大標本理論:最尤推定,大数の法則と一様性,最小コントラスト推定,推定量の漸近正規性

授業の方法:講義をする.

成績評価方法:原則的に試験による.

教科書:Rao, C.R.: Linear statistical inference and its applications. 2nd ed. Wiley 1973 奥野忠一 他訳.統計的推測とその応用 (原著第2版): 東京図書 1977   
柳井晴夫, 竹内 啓: 射影行列・一般逆行列・特異値分解. UP応用数学選書 10. 東京大学出版会 1983.  
柴田義貞: 正規分布--特性と応用. 東京大学出版会 1981  
Ferguson, Th.S.: A course in large sample theory. London Weinheim New York Tokyo Melbourne Madras: Chapman & Hall 1996  
Lehmann, E.L.: Elements of large-sample theory. New York Berlin Heidelberg: Springer 1999   
赤平昌文:統計解析入門. 森北出版 2003  
稲垣宣生: 数理統計学. 改訂版 裳華房 2003. 
高松俊朗: 数理統計学入門. 学術図書出版社 1977  
竹村彰通:現代数理統計学.創文社現代経済選書8. 創文社 1991  
Ferguson, Thomas S.: Mathematical statistics: A decision theoretic approach. Probability and Mathematical Statistics, Vol. 1 Academic Press, New York-London 1967  
竹内啓 他編:統計学辞典.東洋経済新報社 1989.
吉田朋広: 数理統計学.朝倉書店 2012(第3刷)

履修上の注意:測度論は仮定する.確率分布の取り扱いについては確率モデルと統計手法で,確率論の基礎についは確率統計学Ⅰでより詳しく述べられる.

関連ホームページ:https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~nakahiro/hp-naka

その他:講義の内容は,吉田朋広:数理統計学.朝倉書店 2012(第3刷)に沿っている.
質問は講義中,講義終了後あるいはそのときにアポイントメントをとってください.

0570032 確率過程論 2 4 新井 仁之

授業の目標・概要:この講義では確率過程のうち主にブラウン運動(ウィーナー過程)とマルチンゲールについて講ずる.目標は,ブラウン運動,離散時間及び連続時間の場合のマルチンゲール,停止時間,マルチンゲールに関するいくつかの不等式,マルチンゲールの収束定理などを解説することである.このほか,ポアソン過程などにも触れる.

授業のキーワード:マルチンゲール、劣マルチンゲール、停止時間、Doobの不等式、マルチンゲールの収束定理、ブラウン運動、ポアソン過程

授業計画:

確率論の基礎事項の復習,ブラウン運動(ウィーナー過程),条件付き期待値,マルチンゲール,劣マルチンゲール,停止時間,マルチンゲールに関する各種不等式,マルチンゲールの収束定理,などについて確率解析の基礎を講義する.この他,ポアソン過程などについても触れる.

授業の方法:講義.

成績評価方法:レポート.

教科書:特に指定しない.

参考書:講義中に指示する.

※0505066確率統計学Ⅲと合併授業

0570033 確率解析学 2 4 舟木 直久

授業の目標・概要:マルチンゲールとブラウン運動について簡単に復習した後、確率積分と確率微分方程式について基礎から講義する。受講者が伊藤の公式を使いこなせるようになることが一つの目標である。 受講者には確率過程論・確率統計学IIIの講義内容である(離散時間)マルチンゲールについて、ある程度慣れていることを期待する。。

授業のキーワード:マルチンゲール、ブラウン運動、マルコフ性、確率積分、伊藤の公式、確率微分方程式、生成作用素、マルチンゲール問題、強解と弱解、偏微分方程式、ディリクレ問題、コーシー問題、角谷の定理、Feynman-Kacの公式、Cameron-Martinの公式、Girsanovの公式、丸山の公式、ドリフト変換公式、不変測度、可逆測度、Ornstein-Uhlenbeck過程、Bessel過程、ブラウン橋、ピン止めブラウン運動、Hilbert空間上のブラウン運動、無限次元確率微分方程式、確率偏微分方程式

授業計画:

1. 連続時間マルチンゲール
2. ブラウン運動の復習
3. ブラウン運動のマルコフ性と強マルコフ性
4. 確率積分
5. 伊藤の公式
6. 確率微分方程式、強解の存在と一意性
7. 確率微分方程式の解のマルコフ性、
8. マルチンゲール問題と弱解、生成作用素
9. 偏微分方程式との関係、Feynman-Kacの公式
10. Cameron-Martin-Girsanov-丸山の公式
11. 確率微分方程式の例、不変測度、可逆測度
12. Hilbert空間上のブラウン運動、確率積分
13. 無限次元確率微分方程式と確率偏微分方程式
授業の方法:講義による。

成績評価方法:レポートにより行う。

教科書:なし

参考書:

[1] 舟木直久:確率微分方程式、岩波書店、2005年 (1997年)
[2] I. Karatzas and S.E. Shreve: Brownian Motion and Stochastic Calculus,
Graduate Texts in Math., Volume 113, Springer, 2nd ed., 1991年

数理分類番号:541

※0505067確率統計学XAと合併授業

0570034 アクチュアリー数理1 2 4 長山 いづみ

授業の目標・概要:数理ファイナンスにおけるデリバティブの価格付け問題を理解することを目的とする.
ポートフォリオ,デリバティブ等の用語の説明をはじめ,ファイナンスにおける基本的事項について解説する.デリバティブの価格付けの原理を理解することを主目的とするため,離散時間モデルにおける説明を丁寧に行い,連続時間モデルについてはモデルの考え方の説明と主たる結果の紹介にとどめる.

授業のキーワード:ファイナンス、証券価格、配当、裁定機会、無裁定、デフレーター、状態価格デフレーター、ニューメレール、同値マルチンゲール測度、完備、自己資本的、ポートフォリオ戦略、ヨーロピアンデリバティブ、アメリカンデリバティブ、オプション、先物価格、先渡し価格、二項モデル、ブラック―ショールズモデル、伊藤の公式、測度変換、確率積分

授業計画:

1.無裁定の考え方,
2.離散時間モデル,
3.離散時間の完備モデルにおけるデリバティブの価格付け,
4.離散時間の非完備モデルにおけるデリバティブ価格,
5.連続時間モデル
授業の方法:講義による

授業評価方法:課題レポートによる.

教科書:講義の際にレジュメを配布予定.

参考書:ファイナンスの問題の背景や用語の意味を知るためには,ジョンハル著の日本語訳「フィナンシャルエンジニアリング」(きんざい)など

履修上の注意:確率過程論や確率解析学の内容である,マルチンゲール,確率積分,伊藤の公式などにある程度慣れていることが望ましい.
※0505068確率統計学XBと合併授業

0570035 アクチュアリー数理2 2 4 長山 いづみ

授業の目標・概要:貨幣的効用関数の考え方と性質を理解することを目的とし,
アクチュアリーに関する基本的な事項について講義する.
なお,アクチュアリー資格試験に対応するものではないので注意されたい.

授業のキーワード: 保険、リスク、ポートフォリオ、効用関数、証券価格、配当、CAPM、ベーター値、バリューアットリスク、貨幣的効用関数、リスク尺度、キャッシュフロー、条件付き期待値、分散、キャッシュフロー

授業計画:

1.保険会社や金融機関におけるリスクなど,問題の背景説明
2.1期間のポートフォリオ理論
3.貨幣的効用関数とその性質
4.確定キャッシュフローの現在価値とリスク
5.保険のモデル
授業の方法:講義による.

成績評価方法:課題レポートによる.

教科書:講義の際にレジュメを配布予定.

履修上の注意:確率論の基礎的知識を前提とする.

0570036 保険理論 2 4 山内恒人・本多正憲・杉田健

授業の目標・概要:生命保険・年金・損害保険の3つの話題について、実務に携わる3人の講師により5回ずつ計15回の講義を行っていく。それぞれの講義の目標・概要は以下の通り
生命保険:生命保険の基本的な商品類型を通して、生命保険の契約についての概論をなす。そのため、生命保険商品についての概要を説明し、契約の基礎ならびに生命保険契約の契約法上の特性についても説明する。
年金:われわれの老後の生活を支える年金制度について、公的年金・企業年金・個人年金の概要と、その基礎となる年金数理を実務に即して解説する。また、年金資産運用についても年金負債との関連性を意識しつつ論じる。
損害保険:損害保険の基本的な商品及び数理的考え方を生命保険と対比して解説する。損害保険の料率計算の基礎、決算、再保険等の説明をした上で、保険デリバティブについても簡単に紹介する。

1. 生命保険商品と登場人物
2. 保険法概説1 契約の成立・効力
3. 保険法概説2 契約の履行
4. 保険法概説3 契約の終了
5. 生命保険の今後の広がりとまとめ
6. 様々な年金制度
7.年金数理の考え方、基礎率、現価
8.年金財政運営
9.年金財政と退職給付会計
10. 年金資産運用と年金ALM
11. 損害保険商品の解説
12.料率計算の基礎
13.支払備金の考え方
14.再保険形態
15.保険デリバティブ

授業の方法:講義による

成績評価方法:出席点およびレポートによる

教科書:授業中にプリントを配布する。

参考書:特に指定しない。

0570037 時系列解析 2 4 吉田 朋広

授業の目標・概要:確率過程の統計学への入門講義である.確率過程の様々な例を通じ,統計推測の漸近理論における基礎的な概念について解説する.

授業計画:確率過程の統計推測の漸近理論になにが必要か,AR(1)過程,マルチンゲール中心極限定理,マルコフ連鎖,点過程,推定量の一致性,漸近正規性,古典的時系列解析入門,線形過程,ARMA過程,自己共分散関数,統計推測の一般形式,可測選択定理,最小コントラスト推定,M推定,一致性,漸近分布,確率微分方程式の推定

授業の方法:講義形式

成績評価方法:原則としてレポートによる

履修上の注意:前半でマルチンゲールを使う.定義と極限定理について説明するが,マルチンゲールに関して詳しくは確率統計学III・確率過程論で学ばれるとよい.
後半で確率微分方程式を扱う.確率積分,伊藤の公式等については適宜説明するが,確率解析の基礎については確率統計学XA・確率解析学の履修をすすめる.

関連ホームページ:https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~nakahiro/hp-naka

その他:質問は講義中,講義終了後あるいはそのときにアポイントメントをとってください.

0570038 多変量解析 2

4 村田 昇

授業の目標・概要:複数の特徴量・特性量を持つデータの構造を統計的に解析する方法である多変量解析法について学ぶ.
本講義では,以下に挙げる基本的な方法に的を絞り,計算機を用いた演習を通してその考え方を修得することを目的とする.
多次元の特徴量の線形結合によって新たな特徴量を構成しデータの構造をより鮮明に捉えるための手法として回帰分析および主成分分析を取り上げる.多次元の変量の間に内在する関係を探り出し,それを手掛りにデータを分類する手法として判別分析およびクラスタ分析を学ぶ.また時系列データのモデルとして基本的な自己回帰モデル・移動平均モデルを取り上げ,時系列の平滑化や予測についても学ぶ.

授業のキーワード:多変量解析、回帰分析、主成分分析、判別分析、クラスタ分析、時系列解析

授業計画:

1.多変量データの取り扱い
2.確率の基礎
3.線形代数の復習
4.回帰分析
5.主成分分析
6.判別分析
7.階層的クラスタ分析
8.多次元尺度構成法
9.時系列とその性質
10.自己回帰モデル・移動平均モデルの推定と予測

授業の方法:講義,計算機を用いた演習

成績評価方法:レポート(70%),演習(30%)
教科書:教科書は特に指定しない.必要に応じて資料を配布する.
参考書:参考書としては以下のものを挙げておくので,適宜参照すること.
竹内啓「数理統計学 - データ解析の方法」東洋経済新報社
吉田朋広「数理統計学 (講座 数学の考え方)」 朝倉書店
永田靖・棟近雅彦「多変量解析法入門」サイエンス社
田中勝人「現代時系列分析」岩波書店
履修上の注意:確率論と線形代数の基礎を学んでいることが望ましい.
演習は統計用の計算機言語(R)を用いるので,可能であれば自身のnotePCを持参することが望ましい.

0570039 人口学 2 4 稲葉 寿

授業の目標・概要:人口学は人間の誕生から死に至るライフコースの定量的理解のもとに人間集団の形成と再生産のダイナミクスを理解しようとする学際的学問領域であり、すべての人間科学、社会科学の基礎であるとともに、生物学的な個体群動態学と密接に関連している。この講義では、人口学のコアとなっている数理モデル、とくに安定人口モデルとその拡張・応用について講義する。

授業のキーワード:人口、人口学、出生力、死力、生残率、寿命、生命表、安定人口モデル、安定年齢分布、ロトカの特性方程式、内的成長率、マルサスパラメータ、基本再生産数、レスリー行列モデル、両性問題、結婚モデル、人口推計、多状態人口モデル

demography, fertility, mortality, life span, life table, stable population model, stable age distribution, Euler-Lotka's equation, intrinsic growth rate, basic reproduction number, ,,

授業の方法:講義による。

成績評価方法:平常点およびレポートによる。

参考書:

『生命表研究』 (山口喜一ほか編著, 古今書院, 1995年)
『数理人口学』 (稲葉寿著、東京大学出版会, 2002年)
『現代人口学の射程』 (稲葉寿編著, ミネルヴァ書房, 2007年)
関連ホームページ:https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~inaba/index.html

メールアドレス:inaba@ms.u-tokyo.ac.jp

研究室電話番号:03-5465-8343

0570040 会計学基礎 4 3・4 米山 正樹

授業の目標・概要: 企業会計が経済社会で果たしている役割の理解を目指し、利益計算の基本的なしくみと利益に関する報告書(財務諸表)の作成ルールの修得に努める。会計基準を単なる知識として学ぶのではなく、諸基準を背後で支えている基本的な前提や原則の解説に重点を置く。

授業のキーワード: 会計原則、会計基準、利益の基礎概念

授業計画: 以下に記したテキストに沿って講義を進める。会計基準の枝葉末節にはふれず、会計以外を専攻する学生が会計情報を有効に活用するとともに、会計ルールの変化に対応しうる素養を身に着けられるよう努める。

授業の方法: スライドを利用した講義による。

成績評価方法: 期末試験による。

教科書: 桜井久勝・須田一幸『財務会計・入門』有斐閣(シラバス入稿時点では第8版が最新だが、講義開始時点までに改訂がなされた場合はそれを使用する。)

参考書: 必要であれば開講時に適宜指示する。

履修上の注意: 各回に使用するスライドのプリントは、事前に以下のサイトに掲載する。各自ダウンロードし、印刷したものを講義に持参すること。
http://www.yoneyama.e.u-tokyo.ac.jp/

0570041 経済学基礎 2 3・4 楠岡 成雄

授業の目標・概要:所謂ミクロ的経済理論の骨格をなす一般均衡理論の主要内容とその解析学的背景について述べる.

授業の方法:講義による

成績評価方法:レポート

教科書:特にない

参考書:講義中に述べる

0570044 アクチュアリー統計セミナーⅠ 2 4

松山 直樹 、 深谷 竜司

森本 祐司

授業の目標・概要:ファイナンス、アクチュアリー、数理統計学の専門的な課題を選びオムニバス形式で講義を行う

授業のキーワード:ファイナンス、アクチュアリー、生命保険数理、生命保険会計、リスク評価、国際会計基準

授業の方法:講義による

成績評価方法:出席点およびレポートによる

教科書:講義中にプリントを配る

参考書:特にない

0570045 アクチュアリー統計セミナーⅡ 2 4

伏屋 広隆、栗木 哲

坂本 純一

授業の目標・概要:ファイナンス、アクチュアリー、数理統計学の専門的な課題を選びオムニバス形式で講義を行う.

授業の方法:講義による

成績評価方法:出席点およびレポートによる

教科書 :講義中にプリントを配る

参考書:特にない