\magnification=\magstep1
\documentstyle{amsppt}

%\baselineskip 14pt
\NoBlackBoxes
\nopagenumbers
\define\R{\bold R}
\define\Q{\bold Q}
\define\Z{\bold Z}
\define\T{\bold T}
\define\e{\varepsilon}
\def\lan{\langle}
\def\ran{\rangle}
\def\supp{\text{supp}}

\centerline{解析学特別演習II・小テスト (1) 解説}
\rightline{2010年10月12日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

最高点は100点(4人),平均点は44.9点でした.
([1]のせいで点数が負になった人は0点にしています.)
簡単な解説を下につけます.
(実際の答案はもっときちんと書かないと減点になります.)

\bigskip
[1] (各小問とも正解で0点,不正解で$-20$点)
これらの定理はこの授業で頻繁に使います.これらが身についていないと
$\boxed{\hbox{確実についていけなくなります}}$.
怪しい人は$\boxed{\hbox{必ず}}$,
よく復習しておいてください.

チェックでは可測かどうか,すべての点での収束かそれともa.e.か,
などはとりあえず問題としませんでした.重要な点は下記のとおりです.

(1) すべての関数の絶対値が共通の可積分関数で抑えられること

(2) 不等号の向きと,関数が正値であること(あるいは実数値
可積分関数で下から抑えられること)

(3) 単調増大性と,関数が正値であること(あるいは実数値
可積分関数で下から抑えられること)

\medskip
[2] (25点)
これが出来ていない人は,数学科3年生の資格はありません.深く反省し,
復習してください.

\medskip
[3] (25点) 有理数全体は可算なので,$\{p_n\mid n=1,2,3,\dots\}$ とします.
任意の自然数$k$に対し,
$\bigcup_{n=1}^\infty (p_n-2^{-k-n},p_n+2^{-k-n})$ は稠密な開集合で,
その測度は $2^{1-k}$ で抑えらます.$k$ はいくらでも大きくできるので,
下限は $0$ です.

\medskip
[4] (25点)
各自然数 $n\ge1$ に対し,$|f(x)|\ge 1/n$ となる集合の測度が0なので,
$n$ について和を取って,$|f(x)|>0$ となる集合の測度が0となります.

\medskip
[5] (25点)
$\cos x=(e^{ix}+e^{-ix})/2$ とし,それぞれの項について,
原点中心,半径 $N$ で上・下半平面にある半円板の境界上の留数計算を
行って,$N\to\infty$ とします.半円周上の積分は 0 に行き,
$z=\pm i$ での留数から,答えは $\pi/e$ となります.

\bye