「ユニタリ表現の制限とその応用について」
リー群論・表現論セミナー,東京大学,1996年10月8日
大きな群 G の既約ユニタリ表現を小さな群 H (部分群)に制限すると,一般に既約ではなく,H の既約ユニタリ表現の直積分(離散スペクトラムと連続スペクトラム)として分解される.ここでは,G も H も実簡約リー群の場合を考えるが,その場合でも既約分解がどのようになるかを調べる事は一般に非常に難しい問題である.離散スペクトラムしか現れないような場合はもっとも簡単であり,しかも豊富な例があることを数年前に紹介したが,当時得られた十分条件 [Invent. Math. '94] が実は必要条件でもあることをのべる.
さらに,ユニタリ表現の制限に関する一般論の新しい応用として,
などを概説したい.
- 局所対称空間のトポロジー — リーマン対称空間の算術商として得られる modular symbols の消滅定理 (特別な場合として,整数論を動機とした織田孝幸氏の予想が証明される)
- L2-非可換調和解析 — 対称とは限らない簡約型等質空間の離散系列表現の構成と Matsuki decomposition の応用
[ abstract ]
© Toshiyuki Kobayashi