「複素等質空間の Plancherel 定理について」
リー群論・表現論セミナー,東京大学,1994年6月21日
リー群 G の等質空間 G/H 上に実現される G のユニタリ表現 L2(G/H) を G の既約表現に具体的に分解する問題を等質空間の Plancherel 定理と呼びます.G/H が対称空間以外では有効な手法が少なく,Plancherel の定理はごく少ししか知られていません.ここでは,昔の積分幾何の手法を見直し,G が複素半単純リー群,H が「ある仮定」を満たすとき(H はreducitive でなくてもよい),Plancherel の定理を 統一的に得る方法について話します.具体的には曲面の族の作る ''無限次元多様体'' 上での普遍的な結果を有限次元に引き戻します.特別な場合として,複素半単純対称空間に適用すると,大島先生の Plancherel 定理の特殊な場合に新しい証明を与えることになります.なお,無限重複度が現れる場合は,ある正の次元の軌道空間(測度は canonical に定義される)を使って記述します.
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© Toshiyuki Kobayashi